京都・宇治の夏の風物詩「宇治川の鵜飼(うかい)」のウミウが今年初めて産卵し、鵜匠が人工ふ化に乗り出した。飼育のウミウの産卵は珍しく、その卵を人為的にかえす試みは前例がないという。鵜匠は「元気な子が生まれてほしい」と2世誕生を待望している。
鵜匠の松坂善勝さん(76)が26日朝、宇治橋上流の塔の島(京都府立宇治公園)にある小屋で2羽の近くに卵があるのを見つけ、ふ卵器に移した。2羽は2005〜06年に茨城県日立市の海岸で捕獲された野生のウミウ。いつも仲良く寄り添い、今季初めて交尾のような行動も確認されていた。
産卵は19日と23日に続いて3回目。最初の卵は落下して割れたため、わらで巣作りできる環境を整えた。しかし2回目も巣の外に落ち、今回は人の手でかえすことにした。
130羽以上のウミウがいる「長良川の鵜飼」(岐阜市)や、ウミウを30年以上飼育している日立市のかみね動物園でも産卵した例は過去になく、関係者は「ふ化すればとても貴重だ」と注目する。
卵は1〜2週間で有精卵かどうか判明し、ふ化は約1カ月かかるという。現在は宇治市観光センターの事務所でふ卵器に入れて保温している。
女性鵜匠の澤木万理子さん(40)は「無事に生まれたら、国内で途絶えている手綱をつけない『放し鵜飼』が実現できるかも」と夢を膨らませる。
http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20140527000147
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