2014年07月03日

北海道発 企画・連載 遠望 眺望 ヒナ飼育ラッシュ【YOMIURI ONLINE2014年7月3日】

「助けたい」に最善尽くす


斉藤慶輔
 現在、釧路湿原野生生物保護センターでは例年になくたくさんのヒナを飼育している。この春、20年目にして初めてセンターで誕生したシマフクロウのヒナは、フライングケージ内の巣箱から巣立ち、親鳥に育てられている。両親はともに事故で負傷し、保護された鳥で、シマフクロウ保護増殖事業の両輪として、個体数を「減らさない」「増やす」が機能した事例となった。

 野外で保護されたヒナも多い。巣立った直後にキツネに襲われ、両翼を骨折して保護されたシマフクロウのヒナは、折れた骨を2回の手術で整復して入院中だ。複雑に折れていた骨がしっかりと繋つながれば、リハビリを開始して自然界への復帰を目指すことになる。

 十勝地方の森で、巣ごと落下したオオタカのヒナもいる。白いヒナで、一緒に生まれた兄弟は同じ事故で墜落死してしまった。幸いこのヒナは軽傷で済んだが、本来なら巣の中で、親鳥に抱かれて朝晩の寒さをしのぐ時期。できるだけ人に馴なれさせないよう育てるため、飼育室に針葉樹の枝葉で人工の巣を作り、人の姿を見せずに餌を巣内に投入する仕組みを作った。ようやく、白い綿羽の隙間からタケノコのように風切り羽が顔を出してきた。無事に巣立てば、野生復帰を目指したリハビリを始める予定だ。


針葉樹の人工巣で育つオオタカのヒナ
 釧路空港から運ばれてきたのは、粘着物が体中に付着したハクセキレイのヒナ。野鳥が粘着物に絡み捕られる事故は意外に多く、その原因はネズミ取り用の粘着ワナ、ハエ取り紙、鳥もち、クモの巣など様々だ。今回の原因は不明だったが、体中の羽毛についた粘着物を丁寧に洗い流し、鳥本来の姿を取り戻した。

 様々な原因で傷付き、運び込まれる野生動物と同時に、発見者や運んでくださった方々の「助けたい」という気持ちも私たちに届けられている。個体の救護のみならず、携わった方々の思いに応えられるよう、最善を尽くすつもりだ。今回の体験が、気付かなかった野生動物の現状に目を向けるきっかけとなり、今後も保全活動に力を貸してくださると信じている。

 【斉藤慶輔】 猛禽もうきん類医学研究所代表。獣医師。環境省希少野生動植物種保存推進員を務め、オオワシの保護活動で知られる。釧路市在住。49歳。
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/feature/CO003961/20140703-OYTAT50054.html

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posted by BNJ at 23:00 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする