2014年08月07日

北海道発 企画・連載 遠望 眺望 ヒナの落下【YOMIURI ONLINE2014年8月7日】

森林伐採 営巣地へ配慮を


斉藤慶輔
 十勝地方の音更町とオホーツク海沿岸の雄武町で、オオタカのヒナが保護された。音更町からの幼い1羽は巣ごと落下、兄弟は墜落死したが、このヒナは奇跡的に生き残った。雄武町から来た巣立ち間際の2羽は、伐採作業中に巣と共に落下してきたとのことだ。

 言うまでもないが、森林の伐採計画を立てる際には事前に現地調査を行い、繁殖に利用されている希少種の巣があれば、十分な配慮を行うべきである。多くのオオタカは針葉樹の大木に営巣する。天然林では道内に自生するトドマツやエゾマツなどを利用するが、造林地のカラマツも広く活用されている。

 本来、カラマツは道内に自生しておらず、かつては炭鉱の坑木や木材として利用したり、防風林として活用したりするために大々的に植林された。それ故、カラマツ林の多くは将来、伐採される運命にある。ここに営巣するオオタカは、例えて言うならばキャベツ畑で卵を産むモンシロチョウのようなものだ。

 カラマツには所有権や財産権があることから、むげに切るなと言い放つわけにもいかない。だが、人工林を伐採する際には、希少種に大きな妨害を与えないことはもちろん、伐採後も近隣地域で引き続き生息できるよう、最大限の心遣いは必要だ。カラマツ林が減少しても、代替の営巣地が確保されるよう、希少種の保全を念頭に置いた造林計画を立ててもらいたいと願う。


無事に育った3羽のオオタカ
 3羽の幼いオオタカは、入院室に作られた人工巣の中に入れられ、人になれさせないように義兄弟として育てられた。先日、無事に巣立ち、近日中に大型のケージに移る。今後、生きた獲物を捕る訓練が必要なことから、ケージ内で飛ぶ練習を行いながら特殊な給餌台を認識させることにした。野生に返した後も屋外に設置した同型の餌台で、必要に応じて一定期間、補助給餌を受けられるようにする。

 巣立ち後しばらくは、親鳥から受けるはずの給餌を餌台で賄うが、基本的には自然界で生まれた他のオオタカと同様、自力で狩りを覚えていくことになる。幼いオオタカとの数か月間は、猛禽もうきん類との共生の難しさを改めて考えさせられる時間となった。

 【斉藤慶輔】 猛禽もうきん類医学研究所代表。獣医師。環境省希少野生動植物種保存推進員を務め、オオワシの保護活動で知られる。釧路市在住。49歳。
http://www.yomiuri.co.jp/hokkaido/feature/CO003961/20140807-OYTAT50033.html

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posted by BNJ at 23:00 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする