秋田市金足鳰崎の県立博物館で29日、企画展「男鹿・南秋の自然と文化」が始まった。男鹿半島や大潟村など県央部の自然の変遷や人々の暮らしをテーマに、全16人の学芸員が新発見など日頃の調査・研究の成果を、約1500点の資料とともに発表する。
世紀の国策事業と呼ばれた八郎潟の干拓によって、50年前に誕生した大潟村では鳥の種類が年々増え、県内で確認された鳥類の約74%(271種)を見ることができるようになった。希少な鳥も数多く、東北地方では目撃すらまれなキツツキの仲間アリスイも普通に繁殖するなど「野鳥の楽園」となった村の姿を、ハヤブサ、ノスリなど食物連鎖の上位にいる鳥やオオヒシクイ、ゴイサギなど水鳥の剥製とともに紹介。また、秋田にはいないとされていたが、昨年11月に男鹿で釣り上げられたヒラスズキなど周辺地域の魚類の剥製や、温暖化による北上の指摘がある昆虫の標本も並ぶ。
県指定有形文化財の男鹿図屏風は江戸時代の県を描いた屏風として代表的な作品で、一対の大きさが横約7メートル、縦約1・5メートル。薬師堂や塔など今では見ることのできない多数の堂社があり、霊場として栄えていたことが分かる。舟で島に上陸して飲食を楽しむ人の姿もあり、男鹿が早くから観光地としても親しまれていたことが描かれている。同館では8年ぶりの公開で、期間中の前、後期に分けて一対の片方ずつを展示する。
また、打瀬船うたせぶねの4分の1復元模型(全長約3メートル、帆の高さ約2・4メートル)を展示し、風の力を利用して船に付けた網を引く独特の漁法を紹介する。1950年代に大潟村建設の干拓事業が始まるまでは、帆に風をいっぱいに受けて横向きに走る姿は八郎潟の風物詩だったという。同館の渡部均学芸主事は「準備に3年ほどを費やした企画展。秋田を見つめ直し、その魅力を再発見する機会としてぜひ足を運んでほしい」と話している。
30日午前10時30分〜午後3時、男鹿市商工会などの協力で、しょっつる焼きそば(400円)やハタハタのフライ(200円)などが販売される。
来年4月5日まで。入場無料。期間中の土、日、祝日は学芸員が交代で担当分野の解説を行う。問い合わせは、県立博物館(018・873・4121)へ。
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