フクロウの世話を続ける見永さん(神石高原町永野で)
神石高原町永野で、巣から落ちたフクロウのひなを世話して、野山に放し、「フクロウのお母さん」として知られる見永みなが豊子さん(84)は、これまでに60羽の成長を見守ってきた。今年も2羽が現れ、6月上旬の放鳥まで無事に育つことを祈りながら、“子育て”に励んでいる。(佐藤祐理)
山あいにある築88年、木造の見永さん宅。囲炉裏の換気口を通じて、フクロウが屋根裏に入り込み、1991年から、巣を作るようになった。
以来、毎年春に、ひなが孵化ふか。中には、屋根裏から居住スペースに落ちてくることがあり、見永さんは子どもの勉強用に使っていた部屋(約3・2平方メートル)で、巣立ちまで世話をしている。
鳥のささみ肉を細かく刻んで、割り箸で与える。約2週間、餌やりを続け、十分に成長すると、夜に部屋の窓から山に向かってそっと放す。
見永さんの子ども部屋で巣立ちを待つひなの1羽
見永さんの子ども部屋で巣立ちを待つひなの1羽
元気に巣立つように世話をするのは神経も使うが、くりくりとした目で、時折、元気に羽をバサバサと広げる様子は、「孫のようにかわいい」。今年の2羽を含め、25年間で世話をしたひなは60羽に上る。最近は、イノシシ肉を好むことも分かり、野生のたくましさを感じるという。
見永さんは、3人の子どもが独立。夫も亡くして独り暮らしだったところに、フクロウのひなが訪れるようになった。「ご先祖様が私の寂しさを知り、かわいいひなを落とすようになったのかな」
放鳥の時期が早すぎると、親鳥はひなの様子が分かるのか、捕まえたネズミを部屋の近くに置いていくという。放鳥後もひなの様子が気になり、見永さんが「ピヨ、ピヨ」と鳴きまねをすると、親鳥は無事に育っていることを伝えるように、「ボロキタホーコー」と鳴いて応えるという。
今年は2月20日頃に親鳥が屋根裏にやって来て、3月9日頃に卵を産んだ。5月18日にひな2羽が落ちてきた。例年より体が小さいようで、長めに世話をするつもりだが、順調に育っている。見永さんは、「暗い話題が多い中、フクロウの親子の愛情の深さに感動する。ひなを放す時は寂しくなるが、山で無事に暮らせるよう、元気に育てたい」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/local/hiroshima/news/20150530-OYTNT50300.html
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