巣立って元気に納屋内を飛び回る若鳥たち=石川県能美市荒屋町で
石川県能美市荒屋町の南裕明さん(77)宅でツバメのひな約七十羽が育ち、順調に巣立っている。十年ほど前から納屋や車庫を開放し、子育てを見守ってきたが「これほどの数は初めて」。立派に育った若鳥の姿に、南さんは目を細めている。(世古紘子)
南さん宅は、県健民運動推進本部のツバメ総調査で小学生が毎年訪れる「ツバメのお宿」。今年は昨年より三日早い三月二十一日に親ツバメが飛来。自宅南側にある納屋に十一個、隣接する車庫に二個の巣を作り、子育てにいそしんでいる。
第一陣のひなが巣立ったのは五月。六、七月に営巣した第二陣は今月十日から順次、巣立ちを始めた。四羽ほどは巣から落下して死んでしまったが、過去最多の約六十羽が羽ばたいた。現在は十羽が親鳥から餌をもらいながら、巣立ちの日を待っている。
南さんによると若鳥は八月中旬以降に県中部の河北潟に向けて飛び立つが、それまでは毎年納屋や家の近くで過ごす。
朝は家前の電線に六十羽近くが整列して止まり、日中は路上で日光浴を満喫。「チュリチュリ」と鳴いて納屋内を飛び回るなど、元気な姿を見せている。
十年ほど前は巣は数個だった。巣とひなの数は年々増え、昨年は八つの巣から計四十羽が旅立った。
「やっぱり見とるとかわいらしいわいな。毎年、無事に育ってほしいしね」。そんな思いから車庫にはカラスから守る網を張り、親鳥が自由に出入りできるように納屋の戸を十センチ開けるなど、子育て環境には常に気を配る。
落ちそうな巣には木板を添え、今年は五十メートルほど先の電柱などにできたカラスの巣も、電力会社に取ってもらった。
最近は軒先が無い住宅が多く、ふんを嫌がる人もいる。「ツバメの巣を地域で見られることが減った」と南さん。例年以上に多くのひなが巣立ったことに「たくさん生まれて感激。来年も、無事戻ってきてほしい」と笑顔を見せている。
http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2015072502100018.html
ttps://archive.is/FQg8C
タグ:ツバメ