2015年03月04日

トキ公開 佐渡が難色 いしかわ動物園で準備【中日新聞2015年3月4日】

「観光の目玉」分散に警戒

 石川県が準備を進める国特別天然記念物トキの公開をめぐり、新潟県佐渡市が難色を示している。現在、唯一公開する「トキの地元」だけに、貴重な観光資源への影響を心配する声は根強い。国が公開の前提とするのは佐渡との合意形成。先んじた動きを見せる石川県も、慎重な対応が求められそうだ。(松本浩司)

 佐渡市では野生トキが空を舞うほか見学施設もあり、国内で唯一、肉眼でトキを見ることができる。市民挙げて八十年間、保護と繁殖に協力してきた。

 感染症リスクから二〇〇七年以降石川県などで非公開の分散飼育が始まったが、公開要望の声も上がり、環境省は一四年夏に公開基準を策定。すぐさま県は計画案を作り、一五年度は十億円を投じ、いしかわ動物園(能美市)で公開展示施設「いしかわトキふれあいセンター(仮称)」の本格工事に入る。

空を飛ぶ野生トキ=新潟県佐渡市で

 県側は「国の公開基準に基づき動いている。専門家の承認も得ている」との立場だ。浜田孝環境部長は二月中旬に報道陣への予算説明で、公開に前向きな佐渡市民の声を紹介。実際、一月に市内十カ所で同省が開いたタウンミーティングでは住民から「本州側で見せることで野生を見たいと考える人が増える」「佐渡だけの私有物にしてはならない」と容認論も上がった。

 だが石川県は佐渡市と直接調整しておらず「理解が得られるよう環境省の動きを見守る」との姿勢を貫く。一方、佐渡市の甲斐元也市長は二月二十四日の会見でタウンミーティングについて、出席者の層が限られていると指摘し、意見集約に向け観光関係者ら幅広い意見も聞くよう求めている。

 佐渡市は〇六年、分散飼育トキに関し「あくまでも非公開に」と国に要望。一四年に市議会も同じ趣旨の「一般公開に反対する意見書」案を可決した。トキは佐渡観光の大きな目玉だけに、島外での公開に反対論は根強い。

 佐渡観光協会の幹部は今後環境省の説明を聞くとしつつ、「公開は真っ向から反対。北陸新幹線開業によって痛手を被る危機感もある」と話す。佐渡市農林水産課の山本雅明課長も「谷本正憲(石川県)知事は力強い。新幹線も開通するし、観光に力を入れているのがひしひしと分かる」と、石川県の動きに警戒感を示す。両者は世界農業遺産で手をつなぐが、トキをめぐる綱引きは続く。

いしかわトキふれあいセンター(仮称)の内部イメージ

http://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2015030402100006.html

ttps://archive.today/erqF2

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