2015年03月09日

明窓 : 雁の北帰行【山陰中央新報2015年3月9日】(マガン/ヒシクイ/コハクチョウ)

 「けふからは日本の雁ぞ楽に寝よ」。秋、はるか北方から海を渡ってきた雁の群れに、小林一茶は優しい眼差(まなざ)しで「お前たちは日本の雁だよ。ゆっくり休めよ」と、労(ねぎら)いの思いを句に込めた▼雁は、北半球北部で繁殖。日本にはマガン、ヒシクイなどが冬鳥として飛来し、湖、沼、湿地、水田などで見られる。山陰地方では宍道湖や中海などに毎年、約4万羽のマガンなどのカモ類が渡来。宍道湖は国内でマガンの越冬地の南限として知られる▼安来市の水田や米子市の米子水鳥公園などでは、冬を過ごしたコハクチョウの北帰行が例年より10日余り早く2月20日から始まった。宍道湖グリーンパーク(出雲市)によると、マガンなど渡り鳥の北帰行はこれからが本番。今月いっぱい続くそうだ▼季語に「雁風呂」がある。津軽地方の伝説で雁は海を渡るとき、途中で羽を休めるための木片を咥(くわ)えて飛ぶという。目的地に着くと木片を落とし、春の北帰行の際、同じ木片を拾って飛び立つ。が、幾つかの木片が残される。越冬できなかった雁の木片だ。3月になるとその木片を拾い集め、供養に風呂を沸かし、旅人に振る舞った▼花鳥風月の趣を好む日本人は、渡り鳥の飛来や北帰行にも季節の微妙な移ろいを感じ、無常観も併せ持つ。しかし、近年は鳥インフルエンザとの関連性もあり、渡り鳥の肩身は狭い▼「かへる雁翌(あす)はいづくの月や見る」(一茶)。ピークを迎える山陰各地での北帰行。無事に越冬ができたのだろうか。木片の有無を気に掛ける。(野)
http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=551107034

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posted by BNJ at 21:04 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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