2015年03月20日

長野市の「ムクドリ撃退作戦」成功 再来の可能性あり今後も警戒【産経ニュース2015年3月20日】(信州大学中村浩志名誉教授/既報関連ニュース多数)

 長野市の繁華街近くにある鍋屋田小学校周辺のスギ並木にムクドリの数万単位の大群が飛来し、騒音やフン害に悩まされていた問題で、市と信大教育学部の中村浩志名誉教授(鳥類生態学)が2月下旬に行った“ムクドリ撃退作戦”が成功した。この問題では「決め手となる対策がない」とされ、全国の多くの自治体が悩まされてきたが、長野市の作戦は他の自治体にとっても対策の参考になりそうだ。ただ、ムクドリが春から夏にかけての繁殖期を終えて再び大群になって、再来する可能性も否定できず、市は今後も警戒を続ける方針だ。(三宅真太郎)

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 ■猛禽類の剥製や鳴き声…

 市は2月24〜28の5日間、中村教授に依頼して対策を実施。ムクドリの天敵であるタカやフクロウなどの猛禽類(もうきんるい)の剥製(はくせい)を設置したほか、校舎のスピーカーからそれらの鳴き声を流したり、ムクドリがとまる木に向かってロケット花火を飛ばして爆音を鳴らしたりして、ムクドリの大群を追い払う取り組みを行った。

 中村教授によると、4日目の27日には木にとまるムクドリの数が大幅に減少し、5日目の28日にはほとんどとまらなくなった。また、市環境政策課によるとそれ以降、周辺地区や市内の他の地区の住民からもムクドリに関する苦情はなく、市内での大群による被害は解消された形だ。

 中村教授は「予想以上の効果があった」と強調。ムクドリの大群を撃退できた理由については「ムクドリは本来、警戒心が強い鳥で、ここは危険な場所だと認識させることができたのではないか」と説明している。ムクドリは市の郊外に分散したとみられるが、中村教授は「秋頃にまた再来するかもしれない。長期的に見ればまだ安心できる状況ではない」と指摘する。

 ■被害に悩む他の自治体

 ムクドリはスズメの仲間で日本全国に生息。春から夏にかけては繁殖期を迎え、木や人家の軒下などに巣を作り、つがいで行動することから、大群となって飛ぶことはないが、夏以降に子育てが終わるとまた大きな群れで行動し、ケヤキやスギなどの街路樹にねぐらを作る。中村教授によると、ムクドリはかつて山の樹林帯や竹林をねぐらにしていたが、次第に人に慣れてきたほか、山中よりも市街地の方が天敵に襲われることなく安全だと認識し、中心市街地を大群で飛び回るようになったという。

 このため、ムクドリの群れによる被害には全国の多くの自治体も悩まされており、鳥が嫌がる「忌避音」を流したり、木にネットをかぶせて枝にとまれないようにしたりと、あの手この手で取り組んでいるが、群れが一時的に別の場所に移るだけで、抜本的な対策には至っていないのが実情だ。

 たとえば、大阪府高槻市では、6月から12月にかけて市役所前の街路樹をねぐらにムクドリが数千単位の群れで飛び回り、被害があったことから、平成24年に対策を開始。1年目は拡声器で「忌避音」を流したが、付近の木に移動しただけだった。このため、25年と26年は木の生育に影響がない範囲で枝の枝切りを行ったが、ムクドリの群れを追い払うことはできなかった。同市総務課の担当者は「決め手がなく困っている。今後は他の自治体の取り組みを参考にしたい」と話している。

 ■本来の自然の形に

 今回の長野市の“作戦”は、中村教授という専門家の助言のもと、生態学的な観点から取り組んだことによって一つの成功例になった。ただ、繁殖期を終えて次のシーズンに戻ってくる可能性は否定できない。その場合、市は再び、今回のような対策を講じることにしている。

 中村教授は「数年かかるかもしれないが、ムクドリが市街地ではなく、山の中を飛び回る本来の形に戻していきたい」と強調する。単に中心市街地からムクドリの大群を追い払うだけではなく、ムクドリの生態を自然の形に戻すのが中村教授の目標だ。
http://www.sankei.com/region/news/150320/rgn1503200027-n1.html

ttps://archive.today/fX7Cx
長野市にムクドリ大群、騒音やフン害…観光客への悪影響懸念【産経ニュース2015年2月28日】(信州大学/中村浩志名誉教授)
ムクドリ撃退作戦、第2弾はロケット花火【YOMIURI ONLINE2015年2月27日】(信州大学/中村浩志名誉教授)
ムクドリ大群 騒音とフン害【YOMIURI ONLINE2015年1月29日】

posted by BNJ at 13:30 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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