2015年03月23日

鳥インフルエンザH10N8亜型とH6N1亜型は、まだ人間には簡単に感染しない【Medエッジ2015年3月23日】

中国で流行している、米国スクリプス研究所から2つの報告
風邪 / 感染症

インフルエンザウイルスの電子顕微鏡像。写真はイメージ。記事と直接の関係はありません。(写真:Kat Masback/クリエイティブ・コモンズ表示-継承 2.0 一般)
インフルエンザウイルスの電子顕微鏡像。写真はイメージ。記事と直接の関係はありません。(写真:Kat Masback/クリエイティブ・コモンズ表示-継承 2.0 一般)
 最近中国と台湾で散発的に感染が報告されている2つのインフルエンザ・ウイルス、「HI0N8亜型」と「H6N1亜型」についてタンパク質を分析した結果、今のところ「パンデミック(世界的流行)」に至るような人への感染能力を持つ変異を起こしていないと判明した。

 米国にある世界でも有数の私立の生物医科学研究所であるスクリプス研究所の研究グループが、病原体に関する専門研究誌セル・ホスト・アンド・マイクローブ3月号で2つの報告をした。
H10N8の鳥と人間との相性
 中国江西省で2013年に73歳の女性が死亡し、その後同省で2人が死亡した鳥インフルエンザについて、ウイルスの遺伝子シークエンスを用いて、血球凝集素の複製を培養した。

 遺伝子シークエンスは、ウイルスの遺伝情報を読み取るもの。この情報に基づいて、血球凝集素という、インフルエンザ・ウイルスが人間やそのほかの動物の細胞に感染するために使用するためのタンパク質を人工的に作り出した。

 インフルエンザの血球凝集素のタンパク質は、砂糖のような分子の鎖を先端に結合して感染できるようになる。

 H10N8血液凝集素のタンパク質がインフルエンザ・ウイルスのくっつく場所とどのように結合するかを実験で確認。鳥の場合にはよく結合するが、人間の場合には結合は無視できるほどわずかと観察された。

 H10N8血液凝集素のタンパク質が鳥と人間それぞれに結合している時の状態を原子レベルで調べた。

 H10N8血液凝集素のタンパク質は、ウイルスが人から人へと感染することができるような構造的変化を獲得していなかった。
なぜ人に感染する場合があるか
 2013年6月に台湾の20歳の女性がかかった非致死性のインフルエンザについても同じように血液凝集素のタンパク質を調査したところ、やはり、鳥の場合には結合に適した状態のままで、人間の場合には適合していなかった。

 研究グループによれば、ウイルスをくっつける場所が十分にウイルスに合うように変化していなくても鳥インフルエンザに人間が感染する場合はあるという。人の肺の中には鳥と似たウイルスのくっつく場所があり、鳥インフルエンザに接触する機会が多く、しかも肺の奥深くにウイルスが入り込んでいる場合には、感染の可能性がある。
世界的流行の予測は困難
 今のところは、H10N8型とH6N1型については人間への感染は限定的だが、それが人間に感染しパンデミックに至るような突然変異を起こすかどうかについては、予測することは本質的に極めて困難である。

 今後も、ウイルスと人間との感染のしやすさ、感染するときに結合する場所の構造に関する研究は必要であると、研究グループは強調している。
文献情報
Zhang H et al.A Human-Infecting H10N8 Influenza Virus Retains a Strong Preference for Avian-type Receptors.Cell Host Microbe. 2015;17:377-84.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25766296
Tzarum N et al.Structure and Receptor Binding of the Hemagglutinin from a Human H6N1 Influenza Virus.Cell Host Microbe. 2015;17:369-76.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25766295
http://www.mededge.jp/a/cold/10560

ttps://archive.today/M7Aji

posted by BNJ at 13:16 | Comment(0) | 鳥類一般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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