2015年05月15日

キャンパる・なにコレ!?:酪農学園大学狩猟管理学研究室 野生動物との共存考える【毎日新聞2015年5月15日】(エゾライチョウ)

 年々増加傾向にある野生動物の個体数やそれに伴う農作物などへの被害。そのような動物たちをいかにうまく管理し、共存するかを考えるのが酪農学園大学(北海道江別市)狩猟管理学研究室だ。

 2010年に設立されたこの研究室は、同じ道内の西興部村(にしおこっぺむら)や洞爺湖町をフィールドとし、月に数回、実習や卒論調査のために現地に赴く。研究室のゼミ生の一人である菊地祐也さん(21)=4年=は道内の実家が農業を営む。「苦労して育て、実がなった作物をシカに食べられた。どうすれば被害が防げるか知りたいと思った」という。現在3、4年生と修士課程を含め22人が所属するが、菊地さんを含め、その多くが北海道出身者で野生動物とかかわってきた経緯がある。

 実習では主に狩猟鳥獣のエゾシカ、エゾライチョウ、スズメなどの生態調査などを行う。また、洞爺湖町では実際にエゾシカを捕獲、個体数の密度を減らすこともしている。洞爺湖中島にはエゾシカは、本来存在しなかった。だが、道内の別地域から人為的に持ち込まれ、そこから個体数が増加していったため、被害が出始めたという。

 捕獲方法は囲いワナや、くくりワナなどがあるが、その中でも異彩を放つのが「忍び猟」だ。実際に跡を追い、猟銃で仕留めることをいう。

 研究室が属する環境共生学類では、ハンター育成のための狩猟免許取得に向けた「資格支援講座」の開講や、実際に銃を所持するために必要な申請書類の手続き方法などの説明会を開いている。同研究室でもすでに狩猟免許を取得している者もいるが、危険を伴うため実習で学生が発砲することはない。実際に猟銃を扱うのは教員の伊吾田宏正さん。狩猟管理学を専門とするその道のスペシャリストだ。

 伊吾田さんは「野生動物による被害は増える一方で、高齢化などもあり、狩猟者は絶滅危惧種的に減っている」と話す。研究室での人材育成や効率的なシカの捕獲方法についての研究をしなければと考えているという。

 また、ただ個体数を減らせばいいとは考えておらず、実際に捕獲したシカを解体して食べることもある。「ただ殺すだけでは先が見えない。資源として利用することも考えるべきだ」と語る。

 捕獲したシカやイノシシの肉は、いわば国産の食材。普通の家畜肉に比べ、脂肪分も少なくヘルシーでおいしいという。実際にシカ肉を食べたことがきっかけで興味を持ち、シカ肉の質について研究をした学生もいるそうだ。

 伊吾田さんは研究室について「鳥獣類による被害は年々増えている。ここで学んだ学生が捕獲の担い手になってくれたり、それを指導する立場になってくれるのが理想」と展望を語る。

 一方で、ハンターとしての活動には厳しい現実があるのも事実。猟師を直接雇用する体制が日本にはないからだ。そのため、市町村の臨時職員などとして鳥獣被害を減らすために害獣駆除へ行くこともあるが、任期付きが多いという。民間団体やNPOで鳥獣対策を活動として行う人たちも増えているが、その数もまだ少ない。

 それでも、「狩猟免許を取って地域の有害獣駆除」や、「農業被害を減らす」ことを行いたいと考える研究生は多い。卒業生の中で、学んだことをいかしたいと、鳥獣対策用のフェンスを作る会社に就職した人もいる。彼らの強い思いが、野生動物と人間との良い共存関係を築きあげることを願う。【自由学園・寄田翔平、写真は同研究室提供】
http://mainichi.jp/shimen/news/20150515dde012070004000c.html

ttps://archive.is/vKDu0

posted by BNJ at 22:01 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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