2015年06月15日

45年癒やしのさえずり 札幌・オーロラタウン「小鳥のひろば」【どうしんウェブ2015年6月15日】(既報関連ソースあり)

色とりどりのセキセイインコ20羽を見ることができる小鳥のひろば(中村祐子撮影)
 さっぽろ地下街オーロラタウン(札幌)の一角で、色とりどりのセキセイインコを見ることができる「小鳥のひろば」が今年、開設から45年目を迎える。地下街を訪れる人々にとってはおなじみの待ち合わせ場所だが、実は、小鳥を飼育している地下街は国内的にも珍しいという。長年にわたり、多くの老若男女の人気を集めているひろばの裏側を探った。

■インコ見分ける熱烈ファン 「嫌なこと忘れられる」

 多くの人が吸い寄せられるように足を止める小鳥のひろば。その理由を聞こうと5月中旬、オーロラタウンの東側に足を運び、鳥たちを熱心に見ている人たちに声を掛けた。

 15年ほど前から通っているという札幌市の主婦瀬尾せい子さん(63)は、自宅で飼っていたインコが4年前に死んでからは「青っぽいのがチーちゃんに似ている」と、愛鳥を懐かしむ場所になった。週3回ほど訪れ、「新入りはすぐ分かる」ほどのファン。瀬尾さんの顔を覚えているのか、話していると、そばの止まり木にインコが次々と集まって来た。

 岩見沢市の主婦遊佐義江さん(63)は「鳥たちの居心地が良さそうで、すごくかわいい。嫌なことも忘れられそう」と、癒やしの場所になっているよう。1歳2カ月の長男と見に来た札幌市の主婦滝上美里さん(33)は「子どもが喜ぶので、絶対に立ち止まる」という。都心部で子どもがのんびりと楽しめることも、魅力の一つになっている。

■室温20度、掃除は毎日 昔はオウム、カナリアも

 取材を続けていると、「昔はオウムがいた」「カナリアがいた」などの話も出てきた。地下街を運営する札幌都市開発公社(札幌)に聞くと、「確かに当初はオウムやカナリアがいたが、少なくとも15年以上前からはセキセイインコのみになった」とのことだった。

 同社によると、ひろばは1971年11月のオーロラタウン開業に合わせて、地下で自然を感じられる場所をつくろうと開設された。当初は現在地より南側にあったが、区画整理の関係で73年に移設された。

 広さ約7平方メートル、高さ2・4メートルのガラス張りの空間で20羽が暮らす。ずっと地下にいるストレスはないのだろうか。「かわいい小鳥の飼い方BOOK」(梧桐(ごとう)書院)では、小鳥を飼う環境について「飛ぶことが大切」「室温は20〜22度」「清潔であること」「日光がよく当たること」などが重要とある。

 ひろばの鳥を見ると、気ままに飛び回っている。同社によると室温は20度前後に保たれ、掃除は毎朝行う。毎日午後9時ごろ遮光カーテンで周囲を覆い、午前7時前には開けるなど、自然のサイクルにできるだけ近づけるよう配慮しているという。

■元気ない時鳥籠に 清掃員、愛情いっぱい

 世話は、同社の委託を受けた北海道東急ビルマネジメント(札幌)の清掃員9人が日替わりで行う。1人での作業で、世話歴14年の横山則子さん(56)は「掃除中にフンをかけられるのにも慣れた」と笑う。床をブラシでこすって水で洗い流し、鳥用の餌とコマツナを置き、ガラスの内側と外側を拭き終わるまで、約1時間かかるという。

 鳥たちの体調に異常がないか気を配るのも、大切な仕事の一つだ。元気がない時は病院に連れて行き、清掃員の詰め所にある鳥籠で休ませる。寿命は通常のインコと同じ7〜8年ほど。「新入り」は札幌市内のペットショップで購入する。持ち込みは受け付けていない。

 5月中旬に訪れた詰め所では、鳥籠に2羽の姿があった。1羽は1カ月ほど前に餌を食べなくなり、仲良しのもう1羽も体調が悪くなったという。

 病院に連れて行き、清掃員が毎日薬をあげてようやく回復してきた。横山さんは「皆で『元気になったかい』『薬飲むかい』と声を掛けている。あと10日くらいで戻れそう」と、2羽を優しく見つめた。

 多くの人たちに愛され続けているひろばの小鳥たち。札幌都市開発公社営業課の川崎基(もとい)主任(40)は「これからもたくさんの人たちに和んでもらいたい」と話している。(尾張めぐみ)



■地下街で飼育、全国でまれ 都市地下空間活用研究会・粕谷太郎主任研究員に聞く

 「都市地下空間活用研究会」(東京)によると、小鳥などの動物を鑑賞できる国内の地下街は「ほぼゼロ」だという。札幌の小鳥のひろばだけがなぜ、長期間存続しているのか。その理由を粕谷太郎主任研究員(69)に聞いた。

 地下街の通路は通常の道路と同じ扱いで、使用するためには道路管理者に占用料を支払う必要があります。そのため、限られた空間の中で利益を上げることを考えれば、店舗を置くのが普通です。動物など管理が必要なものを置けば、費用面で運営側の負担になりますから、札幌のように小鳥を飼うような施設は、全国的に見てほとんどありません。

 さらに、悪臭がしたり、通行の支障になったりする可能性があるものの設置を禁止する国の通達が1974年に出されたことも、同様の施設がない大きな理由です。小鳥のひろばは71年完成なので、地下街の管理会社と自治体である札幌市が、臭いもせず、通行には支障を来さないと判断し、継続を決めたようです。

 私も札幌を訪れると、小鳥のひろばで待ち合わせをすることがあります。癒やしやにぎわいの空間として、これからもずっと続いてほしいですね。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/life-topic/life-topic/1-0145555.html

ttps://archive.is/wWRT6
北海道)地下のさえずり40年 札幌「小鳥のひろば」【朝日新聞デジタル2015年4月8日】

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