2015年06月22日

ムクドリもハトもタカが一喝 街の鳥害、鷹匠が救う【朝日新聞デジタル2015年6月22日】

街路樹に集まるムクドリを追い払う鷹匠の吉田剛之さんとハリスホーク=19日午後、福井市、伊藤進之介撮影

 野鳥の群れが都市部の街路樹などに集まり、各地で糞(ふん)害や鳴き声の騒音被害をもたらしている。いま、効果絶大の対策として注目されているのが、古来の妙技「鷹匠(たかじょう)」による追い払いだ。

特集:どうぶつ新聞
 6月中旬、福井市の繁華街の入り口にある大名町交差点。夕暮れが迫ると、一帯にあるケヤキやユリノキの街路樹にムクドリの群れが集まってきた。信号待ちの車や歩道に糞が降り注ぐ。けたたましい鳴き声がビルの壁に反響する。

 そこへ、石川県小松市から鷹匠の吉田剛之さん(42)がワゴン車でやってきた。ムクドリの集まる木を見上げる吉田さんの左手には、タカ科のハリスホーク。手を木に向けて振ると、タカは翼を羽ばたかせて猛然と木に向かっていった。数十羽のムクドリたちが一斉に逃げていく。

 外敵が少ない都市部の街路樹は、ムクドリやハト、カラスなどの格好のねぐらだ。日中は周囲の森や田畑などで過ごし、日没とともに集まってくる。大名町交差点付近の街路樹には、昨年12月の福井県の調査で4千羽を超すムクドリが集結し、住民や商店主から苦情が相次いでいた。

 このため、福井県と福井市などは昨年12月に「鳥害対策検討会」を設置。県が調べると、大阪府堺市が約2年前に鷹匠を使って成功した例があった。そこで、今年度に約100万円の予算を組み、1回約3万円で吉田さんに依頼した。5月から週2、3回、大名町交差点の周辺でタカを放ち、ムクドリの数は大幅に減った。12月まで様子を見ながら30回ほど続ける。

 幼い頃から動物好きだった吉田さんは、水族館の飼育員を目指して水産系の専門学校を卒業。就職したペットショップで知り合った鷹匠にあこがれ、2009年に諏訪流鷹匠の団体「日本放鷹(ほうよう)協会」に入った。仕事を続けながら協会で訓練を受け、3年後に認定試験に合格。13年に鳥害対策などを請け負う会社「鷹丸」を小松市で設立した。

 ムクドリが逃げ去り、吉田さんがエサ入りの木箱「餌合子(えごうし)」をたたいて合図をすると、タカは左腕に戻り、エサをもらった。吉田さんは「人とタカは主従関係ではない。タカは『人と一緒にいたら獲物にありつける。得をする』と思って飛んでいる。タカはうちの社員。互いに得をする対等関係なんです」と笑う。

 飼育しているのは南米原産のハリスホーク、日本やユーラシア大陸、北米に分布するオオタカ、ヨーロッパノスリの3種9羽。雌の百(もも)、雄の一(はじめ)と五十六(いそろく)のハリスホーク3羽が稼働中で、ほかの6羽は羽毛のはえかわり時期で休養中だ。

 金沢市も北陸新幹線の開業を控えた今年3月から週2回、吉田さんに依頼してJR金沢駅の駅前広場やシンボルの鼓門(つづみもん)に集まるハトを追い払っている。100羽ほどいたハトが今では数羽。金沢市道路管理課の担当者は「鷹匠による対策は効き目がある。(防鳥ネットや超音波発信器などの)器具を設置することもないため、観光地の景観も保てる」と満足げだ。

 吉田さんとタカたちは現在、週に6日は東海、北陸を中心に車で回り、半年先まで予約が入っている。昨夏には東海地方の大学構内でタカを飛ばし、1万羽のムクドリを1カ月間で約20羽まで減らした。

 吉田さんは「鷹匠は狩りをする仕事としてしか知られていなかった。鳥害で困れば鷹匠がいると頼ってもらえるようになれば、うれしい」と話している。(小川詩織)

     ◇

 〈鷹匠〉 タカを飼育・訓練する専門家。狩りや催しでの実演に加え、最近は害鳥駆除や追い払いもしている。かつては天皇家や徳川家、大名らに仕えてタカを調教し、狩りに随行した。現在はNPO法人の日本放鷹協会や日本鷹匠協会などがそれぞれ技術を伝えて認定。訓練方法や道具によって流派がある。諏訪流の鷹匠は初代小林家鷹(いえたか)が織田信長に仕えたとされ、歴代が徳川家や天皇家の鷹匠だった。諏訪流を受け継ぐ日本放鷹協会では9人が活動している。

 国内では野生の猛禽(もうきん)類の捕獲・飼育は原則として禁じられており、鷹匠は海外から輸入して繁殖させたオオタカやハリスホークなどを使うことが多い。
http://www.asahi.com/articles/ASH6D4DN7H6DPGJB00K.html

ttps://archive.is/QNHiV

posted by BNJ at 23:45 | Comment(0) | 鳥獣狩猟ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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