2015年08月21日

(再読 こんな時、こんな本)感染症と人類 有隣堂新百合ケ丘エルミロード店・高樋純子さんに聞く【朝日新聞デジタル2015年8月21日】(鳥インフルエンザ)

(1)リチャード・プレストン著、高見浩訳、1994年(飛鳥新社、税込み1300円)

 韓国のMERS(マーズ)(中東呼吸器症候群)はようやく終息しそうですが、昨年はアフリカでエボラ出血熱、さかのぼれば新型肺炎SARS(サーズ)にエイズ……。感染症が次々と人間を襲います。不安におびえるだけでなく、歴史や実態を知ってみませんか。

 致死率が最大90%といわれるエボラ出血熱が昨年、西アフリカの3カ国で拡大した。米国などで二次感染が確認されると、日本でもひとごとではなくなった。とはいえ関係者が感染者出現に備える様子をニュースで見て、全身を覆う防護服に二重三重の手袋といったいでたちに、「そこまで必要なの?」と思った。

 そんな甘い認識を覆す(1)『ホット・ゾーン』は、刊行から間もなくコンゴ民主共和国(旧ザイール)で流行したこともあって、これまで30カ国語以上に翻訳されたベストセラー。昨年の大流行を受けて復刊された。「ノンフィクションにもかかわらず、衝撃的すぎる内容。まるでSF小説のようです」(高樋さん)

 ウイルスが「宿主」の中で急速に増殖。組織を破壊して犠牲者を「崩壊」させるさまが生々しく記される。アフリカ発の報道の裏でこんな事態が進行していたかと思うと恐ろしくなる。ウイルス発祥地の一つと目されるケニア奥地の洞窟探検に自ら出かける(もちろん完全防備で)筆者の行動力にも脱帽する。

 (2)『疫病と世界史』は世界の歴史の大きな流れを感染症を切り口に描く。欧州人口の3分の1が死亡したと推計される14世紀のペストに代表されるように、近代以前には疫病によって現代とは桁違いの犠牲者が出た。「病気が戦争と同様、あるいはそれ以上に歴史を大きく動かしてきたことを改めて認識します」(高樋さん)。著者は、知識や組織がいかに発達しても「寄生する形の生物の侵入に対して人類がきわめて脆弱(ぜいじゃく)な存在であるという事実は、覆い隠せるものではない」と戒めてもいる。

 「感染症についての入門書」と高樋さんが薦める(3)『なぜ感染症が人類最大の敵なのか?』は、歴史をふまえながら、鳥インフルエンザやMERSなど現在関心の高い感染症について予想される被害、対応の課題を指摘する。著者によれば「21世紀の疫病は新型インフルエンザ」。インフルエンザという名称から大したことはないと誤解されがちだが、H5N1型鳥インフルエンザは「人類がこれまで経験したことのない、新たな全身性の重症感染症」という。

 記者のお薦め、(4)『そしてエイズは蔓延した』は1980年代初め、米国の同性愛者らに「奇病」エイズが出現、広まっていくありさまをドキュメント形式で詳細につづった。早期に警鐘を鳴らした関係者がいたにもかかわらず、有効な対策がうたれる前に手がつけられないほど蔓延(まんえん)した背景には、長い潜伏期間の間も感染力を持つウイルスの性質、同性愛者への偏見や差別があった。

 その後、エイズは先進国では必ずしも死病ではなくなったが、世界でなお年間200万人が新たに感染、120万人が死亡する。上下巻で約800ページの長編には拡大を許した社会への怒り、病気や差別と闘った人々への敬意がにじむ。(大庭牧子)

 ■在日ファンク「はやりやまい」(聴くなら)

 「感染」なんて物騒なフレーズが出てくる曲なんてあるのか?と思ったが、調べてみると意外に見つかるもの。やはり一番似合うのは、恋愛のメタファーだろうか。何といっても“恋患い”ですもんね。2ndアルバム「爆弾こわい」(Pヴァイン、2700円)に収録されているこの曲、そんな焦燥がうまく表現されています。

 在日ファンクは、ジェームズ・ブラウンを源流とするファンクを日本に在りながら再認識しようという志の下、俳優としても活躍する浜野謙太が2007年に結成したグループだ。

 ♪今年の新型は ものすごく厄介で おまえの吐く息 狂った高熱 空気感染しちゃう……。こんな感じの熱い言葉が次から次へと出てくる。跳ねるベースに合わせ、♪はやりやまい これはかなりヤバい、ヤバいヤバいヤバい……と続くサビも盛り上がる。

 くどいほどリフレインを続けながら高みにのぼっていくのがファンクの真骨頂。かなり重症、クセになりそうな魅力だ。(浩)

 ■プレゼント

 ◆紹介した本を各1冊、計4人に差し上げます。住所・氏名と書名を記し、はがきで〒104・8011 朝日新聞be「再読」係へ。27日消印まで有効。発送をもって発表といたします。ブック・アサヒ・コム(http://book.asahi.com/saidoku/別ウインドウで開きます)から購入できます。
http://www.asahi.com/articles/DA3S11923652.html

ttps://archive.is/L5Wxm

posted by BNJ at 23:19 | Comment(0) | 鳥類一般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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