2015年09月02日

(天声人語)エンブレム騒動の結末【朝日新聞デジタル2015年9月2日】(ホトトギス)

 夏を告げる鳥ホトトギスは短歌や俳句で人気が高い。〈ほとゝぎす二十六字は案じさせ〉という江戸川柳を前に紹介したことがある。短歌は三十一(みそひと)文字だが、ホトトギスをお題にすれば五文字は決まる。残る二十六字をさてどう作るか、というユーモアだ▼俳句ならもっと短い十七音だから、案じるのは十二音になる。よく似た「類句」ができるのは宿命だろう。いつか見た他者の句がふっと口をつく場合もあるようだ。作家の故・車谷長吉(ちょうきつ)さんもそれでおわびをした▼句集の中で2句が盗作の指摘を受けた。その一つが〈ふところに乳房ある憂(う)さ秋暑し〉。これには桂信子の〈ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき〉が先にあった。車谷さんは「無意識の記憶」だったと2句とも訂正している▼物議をかもしていた東京五輪のエンブレムが、白紙撤回になった。他との類似などが指摘されて1カ月余り、真相はともかく、もはや国民の愛着を集める力を失った感は否めない▼シンプルな形を組み合わせるデザインは俳句と同様、類似が起きやすいのかもしれない。是と非の境目が素人には分かりにくい。デザイナーの佐野研二郎氏は模倣ではないとしつつ、五輪への悪影響を考えて取り下げを申し出たという▼新国立競技場といい、つまずき続きの五輪である。季節違いをお許しいただいて俳句で締めれば、〈海に入りて生れかはらう朧月(おぼろづき)〉高浜虚子。ざんぶと一度沈んで洗われて、生まれ変わって上がってくる。五輪準備もそうであれ。
http://www.asahi.com/articles/DA3S11943124.html

ttps://archive.is/S2nmu

タグ:ホトトギス
posted by BNJ at 11:34 | Comment(0) | 海外の鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: