2015年09月07日

皇居の自然 多様性に富む 新種や国内初確認が続々【YOMIURI ONLINE2015年9月7日】(オオタカ/エナガ)

 皇居の動植物を対象にした国立科学博物館の調査結果がまとまった。

 調査は2009年度から5年がかりで行われ、3448種が確認された。世界で初めて見つかった新種や日本初確認の種、絶滅危惧種も含まれており、皇居の自然の多様性が改めて裏づけられた。

吹上御苑と道灌濠

 調査は1996年度から5年間行われた第1期調査に続くもので、調査範囲は、皇居(約115ヘクタール)西側の吹上御苑と道灌濠どうかんぼり周辺を中心とした約60ヘクタール。国立科学博物館(科博)の研究者を含む約90人の専門家が調査した。

 宮内庁によると、吹上御苑は、1657年の大火事で江戸城にも被害が及んだため、防火帯を兼ねた庭園として整備された。

 今回、見つかったのは植物711種、動物2737種。このうち植物24種と、動物21種は国内初確認だった。吹上御苑で見つかった通常の2倍近く大きいニリンソウは世界で初めて確認された新種で、「フキアゲニリンソウ」と命名された。

 昆虫では、ハチの一種「ニホンコシアカハバチ」も新種として命名された。ハチは今回、473種類が確認され、1期で調べた分も合わせると、計681種類。科博陸生無脊椎動物研究グループの篠原明彦グループ長(昆虫分類学)は「東京都内で記録されたハチは、約1100種類。そのうちの6割近くが皇居に生息している」と驚く。

 絶滅危惧種は藻類の「イシカワモズク」や貝類の「ヒロクチコギセル」が見つかった。

大気浄化を反映



 科博の大村嘉人研究主幹(植物分類学)は09年12月、乾門近くの桜の幹で地衣類の「ウメノキゴケ」を見つけ、目を疑った。

 地衣類は菌類の仲間で、藻類を体内に取り入れて共生する。根がなく、体全体で養分や水分を吸収するため、大気汚染の影響を受けやすい。ウメノキゴケは特に大気汚染に敏感とされる。

 第2期調査で確認された地衣類は第1期の2倍近い約100種。第1期調査が終わった2年後に、都のディーゼル車規制が始まっており、大村さんは「規制に伴う大気汚染の改善が影響した」と見ている。

 国立環境研究所の観測データによると、第2期調査期間の二酸化硫黄と浮遊粒子状物質の濃度(年平均値)は、第1期のそれぞれ、4分の1、半分以下に減っている。大村さんは「こんな都心でウメノキゴケが確認されるとは思わなかった。皇居の地衣類は、都心の大気を映す鏡だ」と話す。

外来種も

 チョウの一種「アカボシゴマダラ」やカメムシの仲間「マツヘリカメムシ」などの外来種、分布域が北に広がり、「温暖化の指標」とされる「スズミグモ」も見つかった。

 「オオタカ」や小型の鳥類「エナガ」も確認された。いずれも「都市鳥」と呼ばれる鳥類で、2000年代以降、都心で確認されるようになった。エナガは今回初めて、繁殖も確認された。科博の西海功研究主幹(鳥類学)は「オオタカもエナガも皇居では他の都心部に先駆けて見つかっており、都心に拡大する拠点になっている可能性がある」と話す。

 調査の統括責任者を務める科博動物研究部の倉持利明部長は「まとまった面積の土地で、手入れを最低限にとどめたことが、多様な動植物の生息につながった。調査を継続しながら、この生きた博物館のような環境を保全していくことが大切だ」と話している。

生き物ネットワークの核

 皇居は、都心部の緑地をつなぐ生き物のネットワークの核になっている可能性がある。

 皇居の調査で、チョウを担当した東京大の矢後勝也助教(昆虫自然史学)によると、科博の自然教育園(港区)で確認されているチョウは、皇居より1種多い57種類。明治神宮(渋谷区)、小石川植物園(文京区)、新宿御苑(新宿区)でも30種以上のチョウが見つかっており、同じ種類が複数の緑地に生息していることも多いという。

 矢後さんは「数キロ・メートルくらいの移動は頻繁に起きると考えられている。皇居がチョウのネットワークの核になっているのかもしれない」と話している。(冨山優介)
http://www.yomiuri.co.jp/eco/feature/CO005563/20150831-OYT8T50082.html

ttps://archive.is/NJw6L

posted by BNJ at 11:42 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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