2015年09月08日

鳥へ投石、耕作地荒らす…野鳥撮影でマナー違反相次ぐ【朝日新聞デジタル2015年9月8日】

サンコウチョウの巣にレンズを向ける野鳥の撮影者たち=茨城県内

 デジタルカメラで野鳥を撮影する人が増える中、鳥の生態や環境に影響を与えると心配される事例が全国で相次いでいる。日本野鳥の会は大手カメラメーカーのキヤノンと協力して、撮影マナーを守るよう呼びかけ始めた。

 東京都心から車で2時間ほど。茨城県内に野鳥の撮影スポットとして知られる山がある。7月中旬、望遠レンズを付けたカメラが複数台、1本の木を囲むように設置されていた。

 そばでは中高年の男性が10人ほど、談笑しながら待機していた。「来た!」と誰かが声を上げると、それぞれのカメラに戻り一斉にシャッターを切った。

 レンズを向けていたのはサンコウチョウの巣。目の周りやくちばしが青く、独特の容貌(ようぼう)から人気がある。男性たちはひなに餌を運んでくる瞬間を狙っていた。「カメラ仲間と写真を見せ合う」と一人が話してくれた。近くには撮影目的での立ち入りを禁止する看板が立っていたが、気にするそぶりも見せなかった。

 この山には多くの種類の野鳥が生息する。巣が見つかると口コミやインターネットで情報が広がり、数十人が押し寄せることもあるという。看板は、山を管理する茨城県が4年前に設置した。繁殖時期、巣の近くに大勢の人間が居座ると親鳥が寄りつかなくなる心配があるためだ。サンコウチョウの巣が枝ごと撤去されるという出来事もあった。日本野鳥の会茨城県の池野進会長(65)は「写真を撮影した人が、ほかの人に撮らせまいとしたのではないか」と推測する。

 同会が2012年、全国90支部にアンケートをしたところ、過去5年間で鳥や周辺環境に影響した可能性がある事例が28支部から計65件報告された。「鳥を飛ばせるために投石」「追いかけ回す」といった鳥への行為のほか、「道路に違法駐車」「耕作地を踏み荒らす」など、地域住民から苦情が出たケースもあった。

 栃木支部は「巣の真下で撮影」など11件を挙げた。「写真をきっかけに野鳥が好きになることもあるのであまり厳しく注意したくないが、もう少し配慮してほしい」と当惑する。

 同会はマナー違反が続出する理由の一つに、野鳥撮影者が急増したことを挙げる。デジタルカメラの性能が高まり、初心者でも撮れるようになった。機材にかかる費用は150万円ほど。退職金で購入する人もいるという。野鳥写真家の戸塚学さんは「影響は地域や鳥の種類によって異なる。昔はさほど問題にならなかった行為も、撮影者の数が増えてトラブルにつながりやすくなったのではないか」と話す。

 撮影者が増えるのは、鳥が繁殖を迎える春から初夏にかけてと、渡り鳥が越冬する冬だという。

 キヤノンは昨秋、野鳥の撮影に適したカメラの発売に合わせて「野鳥撮影マナーブック」を発行した。日本野鳥の会が監修し、「巣には近づかない」「珍鳥や人気の鳥の情報を公開しない」など注意事項を7点挙げる。同社商品企画第二課の小林元・課長は「野鳥の生態に影響が出れば良い写真も撮りづらくなる。マナーを守って楽しんでもらいたい」と話す。

 日本野鳥の会は、愛好家に写真を募って掲載する雑誌や新聞などにも配慮を求めている。きれいに撮ろうとするあまり、巣の周りの草木を取り去った可能性がある写真が掲載されることもあるという。富岡辰先・普及室長は「公募の際に野鳥の専門家に意見を聞いたり、注意をしたりしてもらえると問題行為を防ぐこともできる」と話している。(山田理恵)

     ◇

●野鳥撮影のマナー7カ条

■野鳥の巣には近づかない

 繁殖時期(春〜夏)は特に神経質になる親鳥が多く、危険を感じると巣を見捨ててしまうこともある。

■野鳥を追い回さない

 珍しい種類の野鳥が生息地や渡りのルートから外れ、弱っている場合もある。

■珍鳥や人気の鳥の情報を公開しない

 出現場所の情報が出回ると撮影者が一斉に集まり、地域に迷惑をかける場合も。

■周りの人や撮影場所選びに十分配慮する

 長時間の場所取りや私有地への無断立ち入りでトラブルになることも。

■餌付けや環境改変はしない

 木や枝が伐採されるケースが増えている。餌付けによって渡りの時期を逃し、冬を越せず死んでしまうことも。

■自然にやさしいマナーを心がける

 ごみや吸い殻のポイ捨てをしない。

■ストロボは使用しない

 人工照明は警戒心の強い野鳥を驚かせ、思わぬ事故につながる恐れも。

(日本野鳥の会、キヤノン共同制作のマナーブックから)
http://www.asahi.com/articles/ASH8N3QRWH8NUTFL006.html

ttps://archive.is/ESkWc

posted by BNJ at 13:36 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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