2015年09月30日

約2万羽の鳥を違法販売、インドネシア3市場で 東南アジア最大の鳥取引市場で実態調査【ナショナルジオグラフィック日本版2015年9月30日】(カンムリシロムク/シマキンパラ/キュウカンチョウほか)

違法に捕獲された鳥が販売されているスマトラの青空市場(PHOTOGRAPH BY MARK LEONG, NATIONAL GEOGRAPHIC)

 何百もの鳥かごから、にぎやかな鳥の声が聞こえてくる。ここは、インドネシアの首都ジャカルタのプラムカにある、同国最大の鳥市場。いくつもの露店が、所狭しと並んでいる。

 小さな茶色いフィンチ、鮮やかな虹色のインコ、小ぶりで目が大きいフクロウなど、何千もの野鳥が、地元のコレクターにペットとして販売される。そのほとんどが、違法に捕らえられたものばかりだ。

 野生生物取引監視機関「TRAFFIC」の研究者らが先日発表したレポートには、インドネシアで大規模に行われている野鳥取引の実態が記されている。

 研究者らは昨年、プラムカを含むジャカルタ市内の鳥市場3カ所で、3日間にわたり鳥の販売数を数えた。その結果、200種以上、1万9000羽以上が販売されていた。東南アジアでも最大級の市場である。

 価格は幅広く、シマキンパラの43セントから、コンゴウインコは4200ドル以上で販売されていた。

 取り引きされる野鳥の多くが、ハイバラメジロ、キュウカンチョウ、チョウショウバト、オオコノハドリなど、インドネシアに在来の鳥である。


米ブロンクス動物園のカンムリシロムク。絶滅の危機に瀕しており、野生に残るのは約115羽のみである。(PHOTOGRAPH BY MICHAEL NICHOLS, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 TRAFFICのリチャード・トーマス氏は言う。「ジャカルタの鳥市場が大きいことは以前から知っていました。しかし、このレポートで、その巨大さが改めて浮き彫りになりました」

 インドネシアでは、ペットとしての鳥の人気が高い。2005年の調査によれば、鳥を飼っているのは全世帯の5分の1以上。つまり、5大都市でおよそ260万羽が飼われていることになる。

 インドネシアには、こんなことわざがある。「男は、家と妻と馬と短剣と鳥を持つと、真の男になる」(参考記事:「小さい鳥の歌声はなぜ美しい?」)

 TRAFFICのレポートは、9月26日から29日にかけてシンガポールで開催されたアジア初の「Songbird Crisis Summit」に向けて、発表されたものだ。

 地中海や米国では、ここ数年鳴き鳥が急減しており、注目を集めていた。しかし、その注目は今や、東南アジアにも向けられている。(参考記事:2013年7月号特集「渡り鳥 最後のさえずり」)

 インドネシアは、絶滅の恐れがある鳥131種の生息地であり、これは、ブラジルに次いで世界で2番目に多い。そして、世界の違法な野鳥取引のハブとなっている。

 研究者らが同定した鳥の多く(カンムリシロムク、ソデグロムクドリ、チャビタイガビチョウほか)は、国際自然保護連合(IUCN)が定めたレッドリストに掲載されているものだった。このリストは、種の保護状況を示す国際リストとして広く受け入れられている。

 さらにそれらの一部は、インドネシア独自の保護鳥リストにも掲載されている。専門家によると、そのほかにもリストに掲載すべき種はたくさんあるが、1990年のリスト作成以来一度もアップデートされていないため、掲載されていないのが現状だ。こうした背景から今、保護活動家は鳥の生息数に影響がおよぶことを懸念している。

 インドネシアは、野生生物の取引や保護に関する法が整備され、野鳥を許可なく捕獲することは違法であり、輸送や販売も禁じられている。


ヤシ油プランテーションによる森林破壊。インドネシア在来の鳥にとって、大きな脅威になっている。(PHOTOGRAPH BY STEVE WINTER, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 しかし、取り締まり体制がほぼ皆無であるために、違法取引が横行・増加していると、国際法律事務所DLAパイパーは分析している。

 こうした違法取引の脅威に加え、材木やパーム油、ゴムプランテーションなど、森林伐採で鳴き鳥の生息地が破壊されている。

 TRAFFICのトーマス氏は言う。「生息地が減っていくことは、アジア全体の鳴き鳥に共通する大きな脅威です。しかも、一部の種は、その歌声や魅力、あるいは単に希少だからという理由で、無慈悲に捕獲されています」

 カラスやコウライウグイスのような人気種は、幸運のお守りとされている。絶滅危惧IA類に指定されているカンムリシロムクなどのように、ステータスの象徴とされているものもある。中流階級の月収が200〜670ドル程度のインドネシアでは、500ドル以上で販売されるカンムリシロムクは、所有者にとっての誇りになるのだ。(参考記事:「カンムリシロムクの保護、横浜の動物園でも」)

 インドネシアには鳥を飼育下で繁殖させるプログラムがある。一部では、こうした取り組みで捕獲される野鳥の数を減らせる、とする研究もある。しかし、TRAFFICのレポートは「現時点でこのプログラムの実施は時期尚早」で、「まずは、インドネシア当局が繁殖のための規制を適切に執行し、繁殖させるための種鳥が野生から違法に捕獲されていないことを調査で示すことが先決だ」としている。(参考記事:「海鳥の90%がプラスチックを誤飲、最新研究で判明」)

文=Rachael Bale/訳=堀込泰三
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/b/092800038/

ttps://archive.is/6O96P

posted by BNJ at 23:59 | Comment(0) | 海外の鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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