2015年11月04日

現場発プラス:ゴリラ、ラッコ、アフリカゾウ…動物園から人気者が消える!? ワシントン条約で規制 輸入激減、繁殖も難航【毎日新聞2015年11月4日】(マカロニペンギン )

 国内の動物園や水族館からゴリラやラッコなど人気の動物がいなくなるかもしれない。希少動物の海外取引を制限するワシントン条約を日本が締約した1980年以前に輸入された動物が寿命を迎えつつある一方で、高齢化や個体数の少なさがハードルとなり繁殖も難航しているためだ。【尾垣和幸】

 福岡市動物園で8月6日夕、雄のゴリラ「ヤマト」(推定38歳)がひっそりと息を引き取った。6月に神戸市立王子動物園から来たヤマトは環境の変化に慣れず、食欲が減退。飼育員が付きっきりで看病していた。

 ヤマトの転園は、日本動物園水族館協会(JAZA)が主導し、繁殖のために全国の園同士で動物を貸し借りする「ブリーディングローン」の一環だった。王子動物園では2004年からヤマトと雌の「サクラ」(同37歳)のペアによる繁殖を試みてきたが子供はできなかった。

 ゴリラは本来、雄と複数の雌による群れで生活。そこでサクラを、雄雌1頭ずついる京都市動物園に貸し出すことで、1頭の雄に対し2頭の雌がいる状態にして繁殖を目指すことにした。その際、ヤマトが残されて単独飼育になるのを避けるため、同じく雄(ビンドン、34歳)が1頭だけいる福岡市動物園に移すことにしたのだ。

 JAZAによると、ワシントン条約締約後、取引が制限されて野生動物の輸入は激減。飼育下では世界で約850頭しかいないゴリラはとりわけ規制が厳しく、国内の飼育数は1990年代の50頭から2014年末に25頭に半減。繁殖適齢期とされる11〜30歳の雌は京都市動物園の1頭を含む2頭のみとなった。

 ゴリラの寿命は40歳前後。高齢の2頭の移動には慎重論もあったが、京都市動物園の担当者は「繁殖の可能性があれば挑戦せざるを得ない。苦渋の決断だった」と話す。結局、福岡市動物園は11年以来続く単独飼育の状態に戻り、サクラも体調を崩して京都への転園が見送られたままだ。

 危機的なのはゴリラだけでない。JAZAは特に保護が必要な約150種を指定するが、09年時点の予測では、30年までにアフリカゾウが7頭に減少し、ペルシャヒョウやマカロニペンギンはいなくなるとの試算が出た。中でも、ラッコはブームが起きた1994年に122頭を数えたが、98年に米国、2003年にロシアと主な輸出国が全面禁輸に踏み切った結果、14年末には15頭にまで減った。

 JAZAで繁殖計画などを管理する鳥羽水族館(三重県鳥羽市)の石原良浩さんは「水族館で生まれた個体は繁殖方法を学ぶ機会がなく、必ずしも繁殖がうまくいっていない」と語る。一方で繁殖能力の高いキリンのように、増加している動物もいる。智光山(ちこうざん)公園こども動物園(埼玉県狭山市)園長で、JAZA生物多様性委員会の日橋一昭委員長は「園の人気者を残してほしいという各地域の要望は分かるが、生物の多様性を維持するためには、どの動物を残すのか国全体で考えていく必要がある」と話している。

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 ■ことば

 ◇ワシントン条約

 1975年発効、179カ国が締約。野生動植物の取引を規制し、絶滅の恐れのある種の保護を目的とする。3クラスに分けられ、絶滅の恐れが最も高い「付属書1」は、商業取引が原則禁止。学術や繁殖目的でも、取引が種の存続を脅かすことがないとの輸出入国の許可書などが必要。ゴリラやトラ、アフリカゾウは付属書1に分類される。
http://mainichi.jp/area/news/20151104ddp041040019000c.html

ttps://archive.is/4Fw7f

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