秋はトキが最も輝く季節。とき色の羽根を夕日が艶やかに染めた=新潟県佐渡市
新潟県佐渡市で国の特別天然記念物トキの放鳥が始まってから、今年9月で7年が経過した。自然界に放たれた個体は200羽を超え、12月初めの調査では島内で約150羽の生息が確認されている。予想以上の定着率に関係者は胸をなでおろす一方、モニタリングチームのメンバー不足など新たな悩みを抱えている。
11月中旬、約4カ月ぶりの佐渡で感じたのはトキと遭遇する頻度の高さ。撮影ポイントの水田や止まり木を回ると、多くの場所で複数のトキが一緒に行動する姿に出合えた。
生態を継続的に調査しているモニタリングチームにとって、トキの増加は仕事の増加を意味する。チームは環境省と新潟大学のスタッフ、市民ボランティアで構成され、1羽ごと装着された足輪を基に、個体識別や行動観察などを休みなく続けている。
数が少なかった頃は群れも限られ、ひとつのねぐらを複数で観察することもできた。しかし、トキの増加で群れやねぐらの分散が進み、把握できない個体群も出ている。繁殖期には30組以上のペアが誕生、既にトキのつがいはモニタリングの人数を超えている。
モニタリングチームの一員で、日本野鳥の会佐渡支部の土屋正起副支部長の思いは切実。「毎日とは言わない。土日だけでも協力を…」と訴える。特に若年層に期待を寄せるが、モニタリングは車内からの観察がルール。実質的には運転免許の所持が最低条件になっておりハードルは高い。
個体数増加で島民にとってトキは「貴重な鳥」から「いつでも見られる鳥」に変化。メディアの関心も低下している。土屋さんは「7年間、野生の鳥を個体別に見続けた観測データは学術的にも貴重なはず。データを生かした研究の成果に期待したい」と話している。(写真報道局 大山文兄)
◇
■掲載写真お分けします
掲載写真を実費でお分けします。問い合わせは、産経ビジュアル(電)03・3275・8775(午前11時〜午後7時)。ホームページはhttp://chizai−visual.sankei.co.jp/
http://www.sankei.com/life/news/151206/lif1512060016-n1.html
http://www.sankei.com/life/news/151206/lif1512060016-n2.html
ttps://archive.is/RGjMY
ttps://archive.is/RGjMY