2015年12月25日

高速道建設”待った” 「鵜殿のヨシ原」守れ【大阪日日新聞2015年12月25日】(オオタカ/オオヨシキリ)

 雅楽に欠かせない楽器「篳篥(ひちりき)」のリード「蘆舌(ろぜつ)」に最適とされる天然ヨシを守るため、雅楽関係者らが高速道路の建設に“待った”を掛けている。淀川の河川敷に広がる「鵜殿のヨシ原」(高槻市)は、蘆舌に使われるヨシの産地だが、新名神高速道路の建設計画が進んでおり、影響が心配されている。


導水路の導入によって復活したヨシの群落をチェックする小山所長(右)=高槻市上牧の鵜殿ヨシ原

鵜殿産のヨシで作られたリード「蘆舌」
 ヨシ原の広さは、甲子園球場19個分の約75ヘクタール。同高速道路は、上流部分の一角を横断する形で計画されている。2012年4月の事業許可以降、ネクスコ西日本関西支社が環境保全調査を実施。16年度には道路や橋脚の調査・設計を始める。

 40年前からヨシ原の再生事業に取り組む鵜殿ヨシ原研究所の小山弘道所長(78)は「官民が試行錯誤を繰り返しながら再生させてきた。影響が出ないという保障はどこにもない。皆が納得できるまで議論を尽くしてほしい」と慎重な対応を求めている。

 影響が心配されるのは、鵜殿の日照環境や地下水を含む水環境など。ヨシは環境の変化に敏感で、数年前、ラジオコントロール飛行機の愛好家らが土を踏み固めてしまったエリアでは、土壌を掘り起こして軟らかくしても、ヨシが再生しなくなった。

■保全の声上がる
 篳篥の名手として知られた故東儀兼彦氏が絶賛したという鵜殿のヨシ。天理大雅楽部で30年以上にわたり顧問を務めた佐藤浩司名誉教授(69)も「輪郭の鮮明な音を鳴らすことができ、調整しやすい。鵜殿のヨシがなければ篳篥は吹けない」と言い切る。

 演奏者たちも声を上げた。大阪の民間演奏団体「大阪楽所」の中川英男代表(82)は12年、ヨシ原の保全運動を行うグループ「SAVE THE 鵜殿ヨシ原〜雅楽を未来へつなぐ〜」を立ち上げた。

 呼び掛け人には、漫画家の岡野玲子さんや作家の夢枕獏さんら雅楽関係者以外も名を連ねており、建設計画の見直しを求める署名活動を展開。約10万人分を集めており、年明けにも国交省に提出するという。

■工事と両立模索
 一方、ネクスコ西日本関西支社は13年、学識者や鵜殿の関係団体で構成する検討会を設置。蘆舌用ヨシの採取エリアを特定し、生育に影響する土壌水分や地下水位について調査・報告を行ってきた。

 新名神高速道路の開通予定は23年度。18年度には本格的な工事を始める全体スケジュールを示しており、変更の予定はないとしている。同支社広報は「雅楽という文化、生態系を守るという思いはわれわれも同じ。鵜殿の保全と道路建設を両立させるような取り組みを、関係者の意見を聞きながら進めていきたい」と説明している。

 鵜殿のヨシ原 高槻市の上牧、鵜殿の両地区にまたがり、長さは約2500メートル、幅約400メートル。1960年代までヨシ群落が全体の約60%を占めていたが、河川改修により川底の乾燥化が進んだことで一時減少。82年には5%にまで落ち込んだ。ポンプによる水のくみ上げと導水路の導入などの保全活動が実り、近年は20%以上まで復活。オオタカやオオヨシキリなどの鳥類が60類以上確認できるほか、アゼオトギリ、サワトラノオなど絶滅危惧種に指定されている貴重な植物も数多く確認されている。
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/151225/20151225019.html

ttps://archive.is/YfGQG

posted by BNJ at 21:41 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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