2016年02月13日

「幽霊船団」で自然が復活、1次大戦の歴史眠る 米マローズ湾【CNN.co.jp2016年2月13日】(ハクトウワシ)

マローズ湾の廃船で記録に残っているのは185隻。今日ではオオアオサギなどの生息地に

(CNN) 米東部メリーランド州を流れるポトマック川沿いのマローズ湾に、「幽霊船団」がある。船の多くは第1次世界大戦で連合軍を助けるために建造されたもので、使われないまま廃船となり、沈められた。
1世紀近くがたった現在、腐った船体やさびついた船首は自然に覆われている。かつて船員や乗客が立っていた場所は今、動植物であふれかえっている状況だ。
チェサピーク保護機構の最高経営責任者(CEO)、ジョエル・ダン氏は「ここは本当に素晴らしい野生生物のメッカになった」と話す。かつての艦船は、ミサゴやサギ、コウモリの巣と化した。
マローズ湾を大切にしているのは地元住民だけではない。この場所は現在、ウィスコンシン州のミシガン湖とともに、米海洋大気局(NOAA)が指定する保護区の候補にあがっている。
オバマ米大統領は昨年10月、候補地を発表。海洋保護区の候補が公式に指定されたのは、2000年以降では初めてだ。もし実現すれば、マローズ湾は現存する14カ所の保護区に加わることになる。

ミサゴやハクトウワシのような希少種の鳥が船上に巣を作って生息している

保護区指定に向けた動きを後押しする海洋考古学者のドン・ショメット氏は、静かな自信をみせる。NOAAの当局者をこの場所に連れてきたときは、目の前に光景に驚いていたという。マローズ湾では約36平方キロの場所に、考古学上の記録に残る廃船が185隻あり、歴史的な船が集まる場所としては西洋でも有数だ。
ショメット氏にはマローズ湾の「幽霊船団」についての著書がある。愛着を持つようになったきっかけは、1950年代に父とキャンプに来たときのことだ。
ショメット氏は「自分はまだ10代になったばかりだった」と当時を振り返る。南北戦争時代からある埠頭でキャンプをし、夜はゴースト・ストーリーを聞かされた。翌朝になると、川は霧に包まれていた。
「川を下るとある船夫に会った。君たち幽霊船団を見に行くのかいと聞かれた。背筋が凍りそうになった」と述懐。10分ほどすると、霧の中から船首が立ち現れてきた。若い頃の忘れられない思い出だ。
シュメット氏は数年後、この場所の調査に着手。南北戦争時代の密航船の存在を突き止めた。1928年に建造され、第2次世界大戦で就役した「アコマック」もここに眠っていた。

マローズ湾は米国の首都ワシントンの南約50キロ、ポトマック川沿いにある

だが、マローズ湾に集まる艦船の大部分は20世紀初めに造られたものだ。「幽霊船団」は第1次世界大戦中、米国が欧州の同盟国を助けるために前例のないの造船プログラムに着手したことに端を発している。
ショメット氏によれば、米国が1917年4月に参戦したとき、英仏伊を出発した船は半数が撃沈されるという状況で、戦況はドイツ有利に傾きつつあった。
ドイツは潜水艦による無差別攻撃の戦術を取り、軍艦だけでなく商船や客船も標的にした。最も有名なのは、1915年5月に魚雷攻撃を受け沈没した英国の客船ルシタニア号で、乗客1200人が死亡し、その1割は米国人だった。
同盟国の間で急速に艦船が必要とされるなか、当時のウッドロー・ウィルソン米大統領はこれに応え、軍用や商用の船を建造するための特別会社を設立した。
それから1年以内に、米国では100万人が造船関連業に従事。米国は一時的に、世界最大の造船国となった。ショメット氏は「われわれはゼロから造船産業を作り出さなければならなくなり、木造の船1000隻を18ヶ月で建造するのが目標だった」と話す。当時は木造の蒸気船1隻を造るのに通常、1年半を要するところだったという。

米国は大戦中、1年半で1000隻の木造船を建造し、ドイツに対抗するため欧州に送る計画だった


米国政府が設立したペンシルベニア州のホッグ島の鉄鋼造船所では、造船台50本がデラウェア川沿い2キロにわたって広がり、最盛期には3万人の労働者が5〜6日に1隻のペースで船を進水させていた。
木造貨物船の建造は全米に発注され、1918年11月の終戦までに400隻近くが完成した。このうち一部は買い手がつき、太平洋岸沿いに貨物を運ぶのに使われたというが、サイズがそれほど大きくなかったことから、大西洋横断旅行のような長い距離では採算が取れないとみなされた。
こうした船の大部分は1922年、海難救助会社に安値で売却された。再利用可能な金属や部品を回収したうえで、船の残りの部分は沈没処分となった。
この会社は1929年、大恐慌の到来とともに破産。この後、造船会社などが引き揚げを試みるも失敗に終わり、船は徐々に自然の手に委ねられていった。植物に覆われほとんど判別不可能になった場所もある。
ショメット氏は森が生い茂るような格好になった船について、「花瓶船」と形容。「船はみな島になった。高さ約10〜12メートルになる木もある。本当に不思議な光景で美しい」と話す。

艦船数十隻はマローズ湾に廃棄された。今日では観光客らがカヤックで探索にくる

チェサピーク湾の広い地域では近年、20世紀半ばに農薬DDTの影響で姿を消していた鳥のミサゴが増えている。こうした猛禽類が生息数を回復するうえで、マローズ湾の独特の環境が一役買った形だ。
保護機構のトップ、ダン氏は「ミサゴはある意味、チェサピーク湾の象徴。自然保護活動に本腰を入れたときに何ができるのかを象徴している」と話す。
地元の河川はロングノーズガーなどの貴重な魚を支えているほか、チェサピーク湾はシマスズキの重要な生息地にもなっている。
ショメット氏は保護活動で、教育面の利点を柱にすえる戦略を取っている。自分の少年時代のように子どもたちにカヤックで来てもらい、船と自然が移りゆく姿を目にしてほしいとの狙いだ。
また、高校教育に船を取り入れてもらうよう働きかけていく案もある。学校で船の見学に訪れ、植物や鳥の生態を観察してほしいとの考えだ。

木造船の多くは巨大な花瓶のようになり、動植物にすみかを提供している

来年の海洋保護区指定の見通しについて、ショメット氏やダン氏は楽観的だ。60団体以上の地元組織や後援者がすでに支持を表明しているほか、11月に現地で行った2度の対話集会でも手応えを得た。
環境影響評価などが終わると、保護区指定に向けた動きがいよいよ前進する。
http://www.cnn.co.jp/travel/35077822.html
http://www.cnn.co.jp/travel/35077822-2.html
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世界最大の幽霊船団、保存活動進む 米メリーランド州【AFPBB News2016年1月18日】
米東部メリーランド州ナンジェモイ近くにあるマローズ湾で、朽ち果てつつある第1次世界大戦の廃船の残骸(2015年11月17日撮影)。(c)AFP/LOIC HOFSTEDT

【1月18日 AFP】米中部を流れるポトマック川(Potomac River)の中ほどにある静かな入り江を、ドン・ショメット(Don Shomette)さん(72)は年季の入ったカヌーでこぎ進み、泥だらけになりながら岸に上陸した。

 幾度となくたどった道のりだが、朽ち果てつつある第1次世界大戦(World War I)の廃船の山をめぐると、自分がなぜこのマローズ湾(Mallows Bay)に繰り返し戻ってくるのか、その理由に改めて気付かされる。「大規模な破壊戦争に加わった船舶が今、再び自然に帰ろうとしているとはなんとも皮肉な話だ」と、ショメットさんは話す。

 ここに打ち捨てられている木造の蒸気船185隻余りは、米国が第1次世界大戦に参戦した1917年に就役した。しかし、ドイツが降伏するまでに大西洋(Atlantic)を横断した船は1隻もなかった。

 そして米議会の調査でこれらの船は設計に問題があり、多額の保守費用がかかることが分かると生産中止に。部品を使おうと廃船会社が購入し、首都ワシントン(Washington D.C.)から南に車で1時間の位置にある同湾まで運んだ。だが、この会社が1931年に世界大恐慌(Great Depression)の打撃を受けて倒産すると、湾の浅瀬でゆっくりと朽ちるに任せられることになった。現在、一般の目に触れる場所にある歴史的な船舶群としては西半球で最大規模だ。

 メリーランド(Maryland)州出身のショメットさんがマローズ湾を最初に訪れたのは十代の頃。その後、10年をかけて船舶のデータを収集・分析し、それぞれの船について詳細に説明した500ページの記録をまとめた。

 森林に覆われたこの入り江は魚や鳥、シカ、ビーバーなど多くの生物種が生息する。ショメットさんは船のとがった部分に止まるハクトウワシも見たことがあるという。ある非営利団体はマローズ湾の国立海洋保護区指定に向けた取り組みを進めている。(c)AFP/Katharine SCHUBAUER
http://www.afpbb.com/articles/-/3071631

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posted by BNJ at 23:45 | Comment(0) | 海外の鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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