2016年01月26日

SUNDAY LIBRARY 緑 慎也・評『美しい鳥 ヘンテコな鳥』川上和人/監修・執筆【毎日新聞2016年1月26日】

誰より目立ってモテてたくましく生き抜く

◆『美しい鳥 ヘンテコな鳥』川上和人/監修・執筆(笠倉出版社/税抜き790円)

 鳥のファッション写真集とでも名づけたくなる趣を持った本である。出てくる「モデル」はどれも色鮮やか。顔の表情もいい。鳥自身にそのつもりはないはずだが、「どうだ」と言わんばかりのしたり顔に見えるものもある。

 写真には、鳥類学者で、森林総合研究所研究員の川上和人氏によって軽妙なタイトルと短い解説がキャプションとして付されている。ヘラサギには「しゃもじ美人」のタイトルで、「一見サギに似ているが、トキの仲間。邪魔そうなクチバシは、水中で左右に振りながら小動物を食べるのに適している。ご飯をよそったりはしない」と解説がつく。ミドリフタオハチドリは「天然ドローン」で、「ハチドリの仲間は空中停止しながら、花の蜜を吸う。さらに後ろ方向に飛ぶことができるのは、彼らの特殊能力だ。小さく軽いからだと花蜜という高品質燃料が、この技を可能にしている」という。写真がボケならキャプションはツッコミ。クスッと笑えて、タメにもなる。

 目を引く装飾によって捕食者に狙われやすくなるにもかかわらず、なぜ鳥の姿は色とりどりなのか。よく知られている理由の一つは、繁殖率を上げること。黒や茶のもとになるメラニンや、赤やオレンジのもとになるカロテノイドなどの色素を羽毛に使うのは、異性にモテるためなのだ。

 本書の最後に載る、川上氏の4ページのコラムによれば、「色素にはバクテリア耐性の効果もある」。カロテノイドはバクテリアによる羽毛の分解を防ぐという。だからバクテリアの発生しやすい環境で暮らすオウムなどは極彩色の派手な装いをしているのだ。

 鳥はただ美しいだけではない。「目立ちながらも生き抜く」戦略を取ってきた結果が、彼らの姿を形作っているのだ。したり顔をしても当然かもしれない。

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みどり・しんや

 1976年生まれ。ライター兼編集者。科学技術を中心に取材。著書に『ベンツ 消えた伝説のサル』(ポプラ社)など

 <サンデー毎日 2016年2月7日号より>
http://mainichi.jp/articles/20160126/org/00m/040/032000c

ttps://archive.is/FW7R9

posted by BNJ at 23:00 | Comment(0) | 鳥類一般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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