2016年02月15日

絶滅危惧鳥を人工繁殖 ライチョウ、トキ…試行錯誤【YOMIURI ONLINE2016年2月15日】(アホウドリ)

乗鞍岳で行われたニホンライチョウの採卵(2015年6月、代表撮影)
 ニホンライチョウ、トキ、アホウドリ――。

 絶滅のふちにある鳥を、人の手で殖やす取り組みが各地で行われている。ただ、繁殖を軌道に乗せるのは容易ではなく、試行錯誤が繰り返されている。

サルが捕食

 「1羽でも残したかった」。上野動物園(東京)の渡部浩文・副園長は悔やむ。繁殖に向け、同園では昨年6月からニホンライチョウ5羽を育てていた。しかし、間もなく体調不良となり、同8〜9月に全て死んだ。細菌感染や栄養障害が原因とみられるが、詳しい死因は現在も調査中だ。

 ニホンライチョウは国の特別天然記念物で、本州中部の高山帯に生息。1985年頃には約3000羽いたが、2000年代には2000羽弱にまで減少した。

 警戒心が薄く、動きも鈍いことに加え、温暖化でキツネやカラスなどが高山帯に入り込むようになったことが減少の原因とみられる。最近ではサルに捕食されていることが分かり、関係者に衝撃が走った。

 絶滅を回避するため、環境省は今年度から、近縁亜種「スバールバルライチョウ」の繁殖実績がある上野動物園と富山市ファミリーパークで繁殖事業をスタートさせていた。

 昨年6月、北アルプスの乗鞍岳(長野、岐阜)で卵を10個採取し、2園に5個ずつ運んだ。孵卵器ふらんきで温められた卵は、上野動物園で5羽、富山で4羽が孵化した。上野動物園の5羽は死んだが、富山では3羽が育っている。ただ、いずれもオスなので繁殖はできない。

 環境省の担当者は、「今年度の経験や課題を踏まえた上で、再び採卵を行い、繁殖にこぎ着けたい」としている。

なぜ鳥類多い?


 高度成長期の自然破壊で、国内では多くの動植物が絶滅の危機に陥った。このため、90年代以降に保護増殖事業が本格化し、93年には種の保存法が施行された。現在、134種が国内希少野生動植物種に指定され、このうち49種が同事業の対象になっている。

 保護増殖をしている動物の中では、鳥類が最も多く15種。北海道のシマフクロウや沖縄のヤンバルクイナなどが対象。昆虫類はベッコウトンボなど9種、哺乳類はツシマヤマネコなど4種を保護増殖している。

 鳥類が最も多いのは、複数の国を行き来するため、他国と2国間で保護を約束する「渡り鳥条約」で、積極的に対策に取り組んできたためだ。

個別にノウハウ

 特別天然記念物のトキは国内では絶滅したが、99年に中国から贈られたつがいの人工繁殖が新潟県佐渡市でスタートした。これまでに計200羽以上が自然界に放鳥されている。

 現在は安定して繁殖しているが、当初は餌として与えていた魚の寄生虫が原因で死んだこともあった。佐渡トキ保護センターの塚原薫所長は「人工飼料の開発を繰り返した。馬肉やゆで卵を配合した特別の飼料を餌にするようにしたら、順調に育つようになった」と振り返る。

 アホウドリは、東京・小笠原諸島で繁殖していたが、羽毛を取るために乱獲され、同諸島では1930年代に姿を消した。2008〜12年に、伊豆諸島・鳥島のひな70羽を、無人島の小笠原諸島・聟島むこじまに移送。14年と先月の2回、ひなが確認された。

 人工繁殖の方法は、種によっても様々で、個別にノウハウを蓄積しなければならない。山階鳥類研究所の尾崎清明副所長は「鳥の生態は分からないことが多い。保護、増殖には、失敗を繰り返しながら、何年もかけて取り組まなければならないので、数が激減する前に対策を講じる必要がある」と指摘している。

(竹田昌司)

ニホンライチョウ 体長約40センチで、冬は白、夏は黒と茶のまだらに羽色を変える。人目につかない山奥に生息するため、「神の鳥」と称される
ト キ 体長約80センチで、羽は淡いピンク色。昔は全国にいたが、明治以降の乱獲や環境の悪化で日本のトキは2003年に絶滅した
アホウドリ 体長約1メートル。白い羽を持ち、ほとんど羽ばたかずに長距離飛行できる。人間が近づいても逃げることなく捕獲が容易なため、こう名付けられた

http://www.yomiuri.co.jp/eco/feature/CO005563/20160209-OYT8T50031.html

ttp://archive.is/Nbqwa

posted by BNJ at 12:20 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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