2016年02月25日

国境なき理想郷?南極の魅力 豪に研究拠点や体験施設も【朝日新聞デジタル2016年2月25日】(アデリーペンギン/リトルペンギン)

南極大陸東部で数が増えているとみられるアデリーペンギン=豪州南極局提供、ジェシカ・フィッツパトリック氏撮影

■南十字星の下で

 私は8年前、朝日新聞「GLOBE」創刊号の取材で北極圏へ行ったことがある。カナダ軍が行った軍事演習「オペレーション・ナヌーク(ホッキョクグマ作戦)2008」を従軍取材したのだ。

特集:南十字星の下で
 青白い流氷の美しさとともに、特に陸軍で過ごした際のしんどさが良い思い出になった。海軍には艦船があってベッドで寝られるが、陸軍は野営が基本。8月なのに、指が軽い凍傷になるほど寒かった。北極なのだから、当然ではある。

 今年は南極条約が発効してから55年になる。せっかく南半球のシドニーに住んでいるのだからと、南極について調べてみることにした。

 まず向かったのは、オーストラリアで最南端のタスマニア州だ。オーストラリア政府の機関である南極局をはじめ、南極に関する研究施設などがいくつもある。

 州都ホバートの港にはフランスや中国の砕氷船が寄港することもある。オーストラリアの南極探検家、ダグラス・モーソンがかつて南極につくった小屋を模したレプリカ博物館もあり、「南極に近づいた」と実感できるような気がする。

 実は、北極の取材をしていた当時、南極には「理想の大陸」のようなイメージがあった。地球温暖化などで氷が溶け、新たな航路が開けつつある北極圏はさまざまな利権のにおいがし、周辺国がこぞって領有権を主張していた。

 でも、南極は違う。冷戦のさなかにできた南極条約で、領有権の主張を凍結し、平和利用に限ると定めたのだ。だれのものでもない土地。どの国にも属さないだなんて、なんだか「イマジン」の世界みたいではないか。

 でも、南極について取材をしてみて、そんな理想郷ではないようだとわかってきた。費用対効果を考慮して、今のところは本気で自分のものにしようとする国がない、という方が正確かもしれない。

 ただ、観測基地を設置する国はどんどん増えている。自分のものにはできないが、他の国に取られるのはイヤ。だから、とりあえず基地はつくっておこうということなのだろうか。

 ログイン前の続き確かに石炭や石油などは豊富だが、南極研究者には「厳しい環境、気象のもとで巨額を投じて開発するほどの魅力はない」との見方が強かった。鉱業より漁業、漁場としての魅力の方が将来的には大きいだろうとの声もあった。

 南極といえばペンギンだが、オーストラリア南極局のペンギンの研究者である主任研究員、コリン・サウスウェル博士に話を聞く機会があった。

 博士たちの研究チームは、南極東部にある約百カ所の営巣地でアデリーペンギンの個体数を粘り強く数えた成果を昨年10月、科学雑誌で発表した。改良を重ね、太陽パネルとタイマーなどを組み合わせた無人カメラを使ったという。

 その発表によると、南極半島で激減したとされたアデリーペンギンが、南極東部では逆に30年間で倍近くに増えていたことがわかった。理由としては、えさのオキアミの増加や海氷の減少などが考えられるが、地球温暖化との関係などはわかっていないという。「ペンギンの将来のカギを握るのは、観光、漁業、気象変動の3点だ」と、サウスウェル博士は熱く語った。

 ペンギンといえば、メルボルンから車で1時間半ほどのフィリップ島が有名だ。日没後に野生のリトルペンギンが行進して巣に帰る「ペンギンパレード」を見ることができる。昨年末にはフィリップ島の最西端に、世界自然保護基金(WWF)と共同開発した体験型アトラクション「南極への旅」がオープンした。

 南極に関する取材中、いろいろな人から「あなたは南極へは取材に行かないのか」と聞かれた。高額な南極ツアーに行くお金はないし、南極条約があるので軍事演習に従軍することもない。

 でも、いつか、南極へ行ってペンギンを見てみたいものだ。(郷富佐子@タスマニア州ホバート)
http://www.asahi.com/articles/ASJ223DSBJ22UHBI019.html

ttp://archive.is/ubUDq

posted by BNJ at 21:05 | Comment(0) | 海外の鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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