2016年02月26日

<旭山動物園の挑戦 行動展示の先へ>1 脱「ハード」へ知恵絞る【どうしんウェブ2016年2月26日】(ペンギン/ホロホロチョウ/モモイロペリカン)

新年度の改修に伴い、ニホンザルとニホンイノシシの「共生展示」が計画されている「さる山」(大島拓人撮影)
 2月下旬、吹雪の中、行われた旭川市旭山動物園の冬の看板イベント「ペンギンの散歩」。東京都の大学生の片岡奈々さん(21)と小谷祐子さん(20)は愛らしいペンギンに目を輝かせた。ただ、旭山の運営については「有名だから、次にどんな施設を建てるか期待してしまう。室内施設が多く、維持にお金がかかるのでは」と心配を口にした。

■入園者急減

 旭山は動物本来の能力を見せる「行動展示」で全国区の人気になった。ブームを生み出したのは斬新な発想の大型施設整備だが、近年は2013年度の「きりん舎・かば館」(事業費12億円)が最後。入園数は、07年度の307万人をピークに急減、15年度も前年度の165万人を下回る水準にとどまる見通しだ。

 旭山の施設整備の原案になったのは1980年代後半に飼育員が動物園の夢や思いを描いた「14枚のスケッチ」。このうち、10枚はほぼ実現したが、残り4枚を元にした、石狩川周辺に生息する淡水魚や小動物を集めた「石狩川水系淡水魚生態館」の構想はめどがたたない。「今後の大型施設整備は財政的に厳しい」。坂東元園長(54)はこう明かす。

 背景には旭川市が100億円規模の新庁舎整備、複合体育施設の建設などの大型公共事業を抱えていることがある。それに加え、園内の大型施設にかかる補修費も悩みの種になりつつある。

 04年度築の「あざらし館」を担当する飼育員鈴木悠太さん(27)は潜水士の資格を持ち、冬場も週1回、巨大水槽に入り、清掃を行う。目的の一つは水設備の維持と延命だが、「老朽化はどうしようもない」と漏らす。園内全体の施設の補修費は14年度で2300万円、16年度予算案では、ぺんぎん館の配管工事などに5500万円を計上。今後、水鳥を集めた「ととりの村」(97年度築)など屋外プールや水槽のある施設の補修は億単位でかかるという。

■自然界再現

 道外の動物園では、旭山にヒントを得た施設整備が進み、旭山のインパクトが薄れる中、職員は「行動展示」に代わる新たな方策を模索する。その一つが同じ地域で暮らす複数の動物を一緒に飼育する「共生展示」。

 あざらし館の屋外飼育場には、道内に生息するゴマフアザラシと、交通事故で左翼を失ったオジロワシが“同居”する。「動物の展示はふつう1種類。野生では何種類もの動物が一緒に生きていることがあらためて分かった」。ガイドから説明を聞いた広島県の大学生柏原昌宜(まさき)さん(19)は感銘を受けた様子だった。

 共生展示は、アミメキリンとモモイロペリカンとホロホロチョウを一緒に展示する「きりん舎」など5施設で実施。16年度は99年度築の「さる山」の改修(事業費8千万円)に合わせ、ニホンザルとニホンイノシシの共同飼育に挑む。きりん舎担当の飼育員中田真一さん(48)は「自然界の緊張感を再現し、本来の能力を発揮する動物の魅力的な姿を見せられる」と語る。

 ハード整備に頼った「行動展示」から、お金をかけなくてもできる「共生展示」へ。新たな魅力づくりに職員たちは知恵を絞る。



 道北観光の看板となっている旭川市旭山動物園。ブームが落ち着き、ここ数年は来園者の減少傾向が続く。旭山が抱える課題と、その克服に向けた取り組みを紹介する。(古谷育世が担当、4回連載します)
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/dohoku/1-0239540.html

ttp://archive.is/4GAQz

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