2016年02月27日

<旭山動物園の挑戦 行動展示の先へ>2 言葉の壁、ITで克服へ【どうしんウェブ2016年2月27日】(ペンギン/シマフクロウ/連載既報あり)

雪が降る中、「ペンギンの散歩」で外国人客に観覧のルールを伝える職員(手前左)。中国語表記のプラカードなどで呼びかける(野沢俊介撮影)
 「赤い線から出ないでください」「カメラのフラッシュは禁止です」

 厳冬期も、中国、台湾などからの外国人観光客が数多く訪れる旭川市旭山動物園。看板イベント「ペンギンの散歩」の最中、飼育員ら職員5人が身ぶりを交え、日本語で注意を促す。それでも、よちよち歩くペンギンの姿に夢中の外国人の耳には届かない。そこで、中国語で「線を越えないように」などと書いたプラカードを掲示。フラッシュ撮影を続ける外国人の目の前で「ノー」と言うと、ようやく撮影をやめた。

■年間10万人

 旭山の入園者全体が減少傾向にある中、外国人観光客の入り込みは好調だ。2014年度の外国人団体客は9万7千人で、前年度から25%も増え、15年度はさらに上回る勢い。東日本大震災の影響で11年度には2万7千人にまで落ち込んだものの、その後、台湾、中国、タイからの来園者が急増した。統計に表れない少人数で訪れる人を合わせると、外国人は年間10万人を優に超えるとみられる。

 しかし、外国人客への対応は遅れており、「説明が分かりにくい」との苦情も出ている。中国語や英語など外国語ができる職員は3〜4人しかおらず、ガイドは日本語が主。動物の行動や習性から環境問題までを分かりやすく解説、旭山人気を支えてきた飼育員による手書きの案内表示も日本語だけだ。

 「カメラのフラッシュが、ペンギンのストレスになることを海外の方に知ってほしい。散歩はペンギンの冬場の運動不足解消が狙いで、ショーでないことも理解してほしい」。ペンギン担当の獣医佐藤伸高さん(31)は訴える。

 外国語に堪能な人材の養成がなかなか進まない中、旭山はIT(情報技術)に活路を見いだそうとしている。園内に特殊なコードの付いた看板を設け、タブレット端末やスマートフォンをかざすと、外国語による動画や説明などが端末の画面に映し出されるシステムを取り入れる。4月下旬の夏の開園に合わせようと、準備を急ぐ。端末を使う外国人のニーズが高い公衆無線LANサービス「Wi―Fi」も今夏の開園から、利用できるエリアを大幅に拡大する予定。

 坂東元園長(54)は「外国語表記の看板も含め、できることから進める」と強調する。

■意外な人気

 「野生のエゾシカは素早くてよく見えなかった。旭山では、ゆっくり見られてうれしい」。フィンランド人女性のマケラ・ヴェーラさん(19)は知人とエゾシカを熱心に見つめた。

 外国人に意外な人気を誇るのがエゾシカのほか、キタキツネ、エゾフクロウなど道内に生息する動物を展示する「北海道産動物舎」。中には海外からの外来種もある。1970年代後半にテレビアニメの影響で、ペットとして人気になったアライグマ。道内でも捨てられたり、逃げたりした個体が野生化、農作物被害は深刻だ。道産動物舎担当の飼育員佐藤和加子さん(34)は「人間の都合に動物が巻き込まれることは日本でも海外でも同じはず」と語る。

 こうした飼育員らの思いをどう外国人に届けるか。模索が続く。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/dohoku/1-0239588.html

ttp://archive.is/1ant6
<旭山動物園の挑戦 行動展示の先へ>1 脱「ハード」へ知恵絞る【どうしんウェブ2016年2月26日】(ペンギン/ホロホロチョウ/モモイロペリカン)

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: