「初鴉はつがらす」は新年、「燕つばめ来る」は春、「稲雀いなすずめ」は秋。いずれも俳句の季語として古来親しまれてきた鳥。だが、その生態についてどれだけ知っているかと問われると、首をすくめるしかないのも、また事実だ。
現代人は、あまりにも同じ世界の他の生き物について関心がなさ過ぎるのではないか。むろん鳥類に限った話ではない。他の動植物も、さらには、人間同士にも言えることだ。隣人の顔や声に無関心で過ごす現代の都市生活は、やはり尋常とは言えない。
これらは本書に導かれながらスズメやハト、カラスなどの生態を具体的に知るにつれ脳裏を掠かすめた感想の一端。
しかも、多くの身近な鳥類は急速に数を減らしつつある。それも人間のせいだが、その人間の文化に合わせて順応し、生き存ながらえている鳥も多い。そうした鳥の生態に関心を深め観察することは、実は人間そのものの活動を知ることにつながると著者は指摘する。身近な鳥は、人間を含めた他の生きものと密接に関わりながら生きているのだ。鳥類に限らず、滅ぶ時は一蓮いちれん托生たくしょうなのである。そんな思いも読後の胸をふっと過よぎった。
ちくま新書 940円
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