2016年03月29日

おいしいジビエ料理、でも気をつけて!【毎日新聞「医療プレミア」2016年3月29日】

 ジビエ(野生の鳥獣)料理を楽しむ人が増えています。それに伴ってか2015年、E型肝炎の国内での発症例が調査開始以来、最多の187人となりました。E型肝炎の危険を知っていますか?

 シカやイノシシ、野ウサギ、野生の鳥などを材料にした「ジビエ料理」が静かなブームです。ジビエ専門のレストランもできて、より多くの人が楽しめるようになってきました。人気の背景には、牛のレバーの生食の販売・提供の禁止(12年7月)や、豚の肉やレバーなど内臓の生食の販売・提供の禁止(15年6月)があるようです。

 そもそも牛や豚の生食が禁止されたのは、腸管出血性大腸菌による重い食中毒やE型肝炎ウイルス、その他の食中毒菌による感染症が懸念されるからです。ジビエ料理にも同じような危険性がありますが、特にE型肝炎の患者数は例年を上回るペースで増えています。厚生労働省では、「野生鳥獣肉の衛生管理に関するガイドライン」を作成しています。

 E型肝炎はE型肝炎ウイルス(HEV)に感染して起こる急性肝炎で、慢性化することはありません。2〜9週間の潜伏期間を経て、黄疸(おうだん)、発熱、腹痛、食欲不振、悪心・嘔吐(おうと)、肝機能の低下、肝腫大などの症状が現れます。

 多くは安静にしていれば治癒しますが、なかには重症化して、治癒までに数カ月かかることもあり、さらには劇症肝炎(急性肝不全)になると死に至る場合もあります。特に妊娠中は劇症化するリスクが高くなるので要注意です。

 E型肝炎にはまだ有効な治療法がありません。安静と食事療法、症状に対する対症療法が行われます。重症化(劇症化)した場合には、血漿(けっしょう)交換や肝移植が必要になる場合もあります。また、ワクチンなどの予防法もなく、感染リスクの高い地域での水や食品の摂取に注意を払うこと、生水や生肉はとらないことなどが最大の予防になります。

 E型肝炎はこれまで、旅行者に多い「輸入感染症」でしたが、最近では渡航していない人にも起こる「国内発症例」が増えています。03年には国内で獲れたシカの生肉を食べた人が発症したケースもあり、決して輸入だけではないことが明らかになりました。

 予防は何よりもジビエを生では食べないことです。狩猟で獲れた新鮮な肉でもウイルスや寄生虫に汚染されているリスクは高いのです。新鮮かどうかは関係ありません。必ず火を通した物を食べましょう。中心部温度が75度になるまで1分間以上しっかり加熱します。正しい食べ方をすることがジビエ料理を楽しむ大前提であることを覚えておきましょう。

監修:東京医科大学病院総合診療科准教授 原田芳巳

「ケータイ家庭の医学」2015年2月掲載より (C)保健同人社
http://mainichi.jp/premier/health/articles/20160328/med/00m/010/005000c

ttp://archive.is/yR2mN

タグ:ジビエ
posted by BNJ at 11:33 | Comment(0) | 鳥獣狩猟ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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