2016年04月01日

(各駅停話)中央林間駅 街駆ける緑と夢の世界【朝日新聞デジタル2016年4月1日】(鳥、植物、生態系保全)

自らデザインしたコミュニティーバスと及川正通さん=神奈川県大和市の中央林間駅前、天田充佳撮影

 ボディー全体にイラストをまとったバスが中央林間駅前に到着した。気付いた子どもたちが駆け寄ってくる。デザインは、森に囲まれた街で住民がのびのびとくらすファンタジーの世界。神奈川県大和市が2014年秋から運行するコミュニティーバスだ。

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 この地で44年間くらすイラストレーター及川正通さん(76)の作品。情報誌「ぴあ」の表紙を36年描き、ギネス世界記録も持つ大家が、無償で7カ月かけた。「現実の街は緑が減って密集し、妙に都市化してしまった。緑と夢を取り戻す願いを込めました」

 中央林間は東急田園都市線の西の起点で、小田急と接続するターミナル。鉄道2社が開発してきた街は今も人口が増える一方、住民の高齢化も進む。市はお年寄りの外出を支えようと、バスをくまなく走らせる。通院で使う今井知子さん(79)は「乗ると元気になるって評判ですよ。絵で街も明るくなって、孫と一緒に楽しんでます」。

 及川さんは1972年、米軍の旧将校ハウスが並ぶ中央林間の知人宅に招かれた。アーリーアメリカン調の建物と豊かな自然に感動。東京の横尾忠則さんとの共同事務所を解散し、妻子で移り住んだ。故寺山修司との仕事や雑誌の劇画で活躍した頃だ。時代を鮮やかにとらえる作品をここで制作。近所では文化人や芸能人が遊びにきて、年中パーティーが開かれ、故松田優作らは引っ越してきた。

 「軽井沢みたいでね。排ガスから離れて健康になり、遊び心も増えたよ」。作品の背景には緑が、ぴあ表紙に描く顔には笑顔が増えていった。

 東急電鉄創始者の五島慶太は53年、多摩田園都市構想を発表した。都心の過密対策に、民間で最大規模(5千ヘクタール)の街を多摩丘陵につくる。動脈の田園都市線は66年から順次、開通し、1日に開業50周年を迎えた。緑あふれる沿線には商業・文化施設も整い、瀟洒(しょうしゃ)な庭付き住宅での郊外生活は団塊世代らのあこがれの的となった。現在、田園都市には約61万人がくらす。

 84年の中央林間への延伸で完成。商業ビルができ住宅も急増した。郊外のニューファミリーを描いたドラマ「金曜日の妻たちへ」の舞台になった。

 住民の街並みへの思いは深い。駅東側で7棟のマンション群が建設された十数年前、住民が樹木を残すため駐車場の地下化などを求め、計画が変更されたことも。中心となった杉浦宇(ひろし)さん(71)は「地元と街を育ててきた東急だからこそ」と評価する。鳥や植物など生態系の保全にも取り組んできた。

 だが、地域のつながりは衰えつつある。高齢化で街づくりの担い手が減り、手放される邸宅が増えた。市は交流拠点を増やし、昨秋まとめたビジョンで緑と街並みの保全を宣言した。東急も、住民によるコミュニティーの再生を支えるソフト施策を打ち出す。

 及川さんは、成人式の記念品やカフェのデザインなど、地域の仕事を進んで引き受ける。夢の街を形にするためだ。少年期をすごした中国・大連のモダンな空気と戦争体験が原点にある。「夢は努力すれば実現できるもの。緑に囲まれ深呼吸しながら、住む人が自分の夢を描ける街にしていけたらうれしいね。それが田園都市ですよ」(吉村成夫)
http://www.asahi.com/articles/ASJ3X46R1J3XULOB00K.html

ttp://archive.is/APLa2

posted by BNJ at 21:42 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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