2016年04月15日

山形)湿原の命、庄内平野の原風景 鶴岡の西茨新田湿地【朝日新聞デジタル2016年4月15日】(オオワシ/オジロワシ/ノスリほか)

「ここは一つの生態系」とハンノキ林を指さし語る水野さん=鶴岡市の西茨新田湿地

 庄内平野の原風景といわれる湿原が、鶴岡市に残されている。庄内空港にほど近い市北西部の茨新田地区に広がる「西茨新田湿地」だ。連綿と続けられた開田の結果、自然植生が次々と姿を消す中、往古の景観をいまも残す。保全の行方が見えない自然の春を、4月初め、民間団体・鶴岡自然調査会の水野重紀代表と歩いた。

 田園地帯に、ハンノキ林が広がっていた。林に足を踏み入れると長靴がズボリと沈む。標高わずか10メートルほどの場所で、ミズバショウが、白いホウを次々に広げて陽光に輝いていた。

 林の後背地には、標高60メートルほどの庄内砂丘が連なる。「砂丘は1600年代以前まではカシワやケヤキなどの広葉樹林で、砂の下には、腐葉土などでできた不透水層があります。濾過(ろか)された低温のわき水が常に流れ込むから、湿原が維持されているのです」。水野さんが教えてくれた。

 南北約350メートル、東西80〜120メートル、総面積約4ヘクタールのベルト状の湿地は、動植物の宝庫だ。2000年に当時の県環境保護課がまとめた現況調査報告によれば、植物だけで75科274種類。絶滅が危惧されている「ノダイオウ」などもあった。樹高10メートルを超すハンノキは、貴重なチョウ「ミドリシジミ」が産卵し、葉を食べる「ゆりかご」で、昆虫類も豊富だ。オジロワシやオオワシなどの猛禽(もうきん)類をはじめ、計121種の鳥類も確認されている。

 訪れた日も、ノスリやキジ、ツグミなど多くを見かけた。「猛禽類がいるのは餌が豊富だから。ここは一つの生態系です」と水野さんはいう。

 水野さんによれば、庄内地方には「谷地」「川原」「沼」など湿地を現す地名も多い。各地の屋敷林や水田にハンノキが点々と残るなど、往古は広い範囲に湿地があったと見られるという。西茨新田湿地は、庄内空港周辺が開発されるまではほとんど道路もなく、開発から取り残されてきたと見られるという。

 だが、湿原はほとんどが民有地。最近は周辺の道路整備も進み、排水のための暗渠(あんきょ)が作られるなど、一部では乾燥化も進んでいる。水野さんは「地域の原生風景や開拓の苦労を知る上でも貴重な自然だ。希少なものがいるとかいないとかではなく、存在そのものの価値を認め、将来に向けて保全する対策を考えて欲しい」と話している。(溝口太郎)
http://www.asahi.com/articles/ASJ434PQDJ43UZHB003.html

ttp://archive.is/TNmMT

posted by BNJ at 21:39 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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