2016年04月16日

(サザエさんをさがして)スズメ 徐々に数減らす身近な鳥【朝日新聞デジタル2016年4月16日】(オシドリ/オナガ/ローラーカナリアほか)

夕暮れになり、ねぐらに帰るスズメの大群。さえずる声は風に乗ってうなりを生じるほどだが、日没と同時にぴたりと静かに。稲の収穫前には大がかりなスズメ狩りが行われた=1958年、愛知県岡崎市

 今回の掲載作を見て「はて、スズメは?」と思った読者もおられるかもしれない。

 ざるのわなをしかけて、何かを捕まえようとしているカツオ。「お米をまこうとしている時点で、まずスズメと考えていいでしょう」。スズメの行動や生態を研究する北海道教育大函館校准教授の三上修さん(41)は、そう話す。

 鳥を捕獲するわなとして初歩的なこの方法、まず餌をまき、その上にざるを逆さに仕掛ける。ざるにつっかえ棒をしてひもを取り付け、スズメがざるの下に入った瞬間、素早くひもを引いて捕まえる仕掛けだ。

 今でこそ、厳しい規制が設けられているが、当時の子どもたちにとり、ざるや網、ゴムのパチンコ、はたまた素手でスズメを捕まえるのは、遊びの王道だった。1950〜60年代の朝日新聞には「スズメとりの二少年落ちて重体」「スズメ追い転落死 電柱で中学生感電」といった痛ましい記事も載っている。

 スズメを追うのは、子どもたちばかりではない。農業被害をもたらすスズメは、古くから「害鳥」として追われる立場にあった。58年8月の朝日新聞朝刊東京版には、板橋区の水田に集まった推定6千羽の駆除に乗り出そうとする記事が掲載され「“たんぼの愚連隊”を一掃したい」と記されている。当時、大がかりな「スズメ狩り」は各地で行われ、捕らわれたスズメは1羽2〜5円で焼き鳥店に売られていく運命にあった。

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 そんな「売るほど」いたスズメが、近年減っているのをご存じだろうか。三上さんらが5年前にまとめた調査結果によると、90年ごろから2010年ごろの約20年で、スズメは半減したと推測され、その後も減少傾向にあるのだという。

 では、どれぐらいいるのか。三上さんは巣を数えて密度を調べ、複数の環境で調査したデータを元に、08年に国内の親スズメが1800万羽と推計した。

 なぜ減っているのか、はっきりした原因は解明されていないが、(1)住宅事情の変化で巣を作りづらくなった(2)町中の緑地が減り、餌がとりづらくなった(3)スズメ界でも少子化が進んでいる、などが考えられるそうだ。

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 実は本作は病気療養中だった長谷川町子さんが、半年ぶりに執筆を再開した日の作品。久々にペンを執った町子さんが選んだ題材は、スズメ捕りだった。

 改めて「サザエさん」を読み返したところ、終戦後に飼っていたというニワトリを筆頭に、作品には実に様々な鳥が登場する。「オシドリやオナガといった鳥もきちんと特徴を押さえて描いている。きっと鳥に興味があって、お好きだったのでしょう」と三上さんは感心する。

 町子さんの父は小動物好きで、中でも小鳥の飼育には随分熱を上げていた。町子さんが子どものころ、ウグイス、ローラーカナリア、ジュウシマツ、メジロ、セキセイインコなどを飼っていたそうで、そんなことも影響しているのだろうか。

 ただ、スズメを描いた作品は、思ったほどは見つからなかった。古くは古事記や枕草子にも記述が残るスズメだが、「あまりにも身近すぎて、主役を張れないのです」と三上さん。

 スズメと聞けば、愛らしい姿と声がすぐに思い浮かぶ。三上さんによると、個体数が多いので、ただちに絶滅する恐れはないが、だからといって、国産の野生トキと同じ運命をたどる可能性が全くないとも言いきれないそうだ。ありふれた鳥が減っていくのは、何とも寂しい。

 (冨森ひな子)

 ■縮刷版から 伊勢湾台風

 1959(昭和34)年9月26日夕刻に紀伊半島先端に上陸した伊勢湾台風は、名古屋市南部を中心に5千人超もの死者・行方不明者を出す未曽有の災害となった。

 その上陸5日後となる10月1日には、甚大な被害の全容が徐々に明らかになり、取り残された十数万人にも上る被災者が、着の身着のままで救いの手を求める様子が、紙面の多くを割いて報じられている。

 社会面では、救援作業の遅れで飢え死にすれすれをさまよった人びとの悲痛な叫びを掲載。「救援をもっと早く 毛布ももらえない」「学童の生死も分からず」といった見出しとともに、名古屋市南区で撮影された「抱き合って寒さと不安におびえる娘さん」の写真が掲載されている。

 その一方で、急ピッチで勢いを増す救援作業の様子も紹介されている。被災者が最も必要とする水を届けようと、愛知県庁には市民から水を入れる瓶を募る「一升ビン受付」が。救援に駆けつけた学生らの中には、遺体の収容作業にあたったものもいたという。

    ◇

 サザエさん生誕70年記念「よりぬき長谷川町子展」(朝日新聞社など主催、長谷川町子美術館協力)が4月28日から5月22日まで、京都市の「美術館『えき』KYOTO」で開かれます。広島、東京、名古屋に巡回予定です。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12309566.html

ttp://archive.is/0C6J8

posted by BNJ at 12:06 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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