2016年04月23日

トキ 「純野生」生育順調 親鳥からエサもらう【毎日新聞2016年4月23日】

誕生したひなに餌を与えるトキ。円内に、わずかにひなが見える=新潟県佐渡市で2016年4月22日午前撮影(環境省提供)
 新潟県佐渡市で、いずれも野生下で生まれ育ったトキのつがいから生まれたひなについて、環境省は22日、「くちばしを真っすぐ上に上げて力強い様子だ」と、順調に生育していることを明らかにした。巣の中に他にひながいないか確認するとともに、抱卵している別の4組の野生トキ同士のつがいについても注意深く観察を続けている。【南茂芽育、渡辺諒】

 環境省によると、ひなの性別は不明。松林内の高さ約10メートルに作られた巣で20日以降に生まれたとみられ、くちばしを上げて親鳥からエサをもらう姿が21日に確認された。22日には、前日よりも活発に動き、羽毛も確認できたという。

 トキを25年間見守り続けてきた獣医師の金子良則さんは、ひなについて「(体重)80グラムくらいだろう。23日以降にはひなが複数いるかどうか分かるかもしれない」と話した。

 環境省によると、今回ふ化に成功したつがいは昨年もペアを形成していたが、残る野生トキ同士のつがい4組のうち3組は、今年初めて繁殖期を迎えたという。経験が少ないため、同省担当者は「ふ化が続くことを期待しているが、慎重に見ていきたい」と話した。

 日本産のトキは2003年に絶滅した。環境省は08年から人工繁殖したトキの放鳥を始め、今回のひなは3世代目に当たる。人の手を借りずに育ったつがいが自然の中で繁殖に成功したことは、トキの完全な野生復帰に向けた大きな前進だ。

 背景には、放鳥によりトキの数が順調に増えていることが挙げられる。現在、野生トキは佐渡市を中心に約150羽いる。環境省は220羽にまで増えれば、あとは人が関与しなくても自然に増えていくとみている。

 ただ、永田尚志・新潟大教授(保全生態学)は「年々増えているが、あくまで放鳥による効果だ。ここで放鳥をやめれば50年で再び絶滅するという計算結果も出ている。佐渡では、トキの生存率は高いが繁殖率は低いという課題もある」と指摘する。

ひなの誕生を祝って玄関に縦長のポスターを張る若おかみの岡本さん=佐渡市加茂歌代の「ホテル志い屋」で2016年4月22日、南茂芽育撮影
観光に期待 佐渡

 野生トキ同士のつがいから40年ぶりにひなが誕生し、地元・新潟県佐渡市では観光への期待もぐんと高まった。佐渡観光協会は22日、誕生を祝うポスターを市内約30カ所のホテルや観光施設に配布した。玄関口に掲げた「ホテル志い屋」(同市加茂歌代)では、23日の夕食時に佐渡産米などを使った赤飯を特別にふるまうことを決定。若おかみの岡本美絵さん(39)は「トキに遭遇し、感動して帰るお客さんも多い。もっと佐渡の知名度が上がってほしい」と語った。

 佐渡市役所の正面玄関にも垂れ幕(縦約2メートル、横約60センチ)が懸かった。この日急きょ作ったといい、野生下で生まれ育ったトキの「2世」と位置付け、「祝 トキ野生下2世 ひな誕生」と印刷。訪れる市民も、誇らしげな表情を浮かべた。

 佐渡市は長年のトキ保全活動を評価され、今年度の「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰が決まったばかり。三浦基裕市長は「表彰は今回のひな誕生の前祝いだったのかもしれない」と笑顔を見せ、「トキを見に来る人が増えれば」と話した。

 ひな誕生を関係者が心待ちにしていた今月17日、佐渡市は最大瞬間風速37・4メートルの荒天に見舞われた。現地にある環境省佐渡自然保護官事務所の広野行男首席自然保護官も心配したというが、22日の取材に「順調に育てば1カ月後となる巣立ちも、野生生まれの実力を見せてほしい」と期待を込めた。【南茂芽育】
http://mainichi.jp/articles/20160423/ddm/012/040/025000c

ttp://archive.is/RYAm9

タグ:トキ 佐渡島
posted by BNJ at 12:01 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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