2016年04月23日

こちらいきもの研究会 白いカラス、赤穂「ふれあい村」に 賢さ健在、ものまね上手【毎日新聞2016年4月23日】

 大学時代の部活仲間に「カー子」と呼ばれていたくらい、カラスが好きだ。賢くて格好良いし、もったりした重量感のある動きも魅力的だと思う。何かと嫌われがちなカラスだが、「黒くて怖い」という理由で苦手な方には知ってほしい。白いカラスもいるのだ。赤穂海浜公園の「動物ふれあい村」(兵庫県赤穂市)に。

 入園すると、すぐ左手から「ガアーガアー」と聞こえてくる。ケージをのぞくと、白いカラスの「仙ちゃん」がいた。羽から足の先まで全身真っ白。くちばしはうっすらピンクで、淡い灰色の目はガラス玉のように透き通っている。思わず見とれてしまうほど神秘的で美しい。村長の緒方卓也さん(56)によると、生まれつきメラニン色素を持たない突然変異の「アルビノ」なのだ。

 「色以外は、普通のカラスと変わらない」が、黒い群れの中では目立って天敵に狙われやすく、仲間からもいじめられる。だから野生では、ほとんど見かけることがない。まだら模様のカラスは結構いるそうだが。そもそもカラスは縄張り意識が非常に強い。2012年にここに来たばかりの頃は、周辺にすむカラスの集団に毎日威嚇されて大変だったとか。世知辛い人間社会と同じで、変わり者は生きにくいのだ。

 身近なカラスは、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種類。仙ちゃんはハシボソなので、くちばしが細く、濁った声でガアと鳴く。「他にもいろんな鳴き方ができますよ。4種類くらい。ほら、ホロホロホロロ〜」。緒方村長がのどを震わせ、不思議な声を出すと、仙ちゃんは少し考え「ワンワン!」。犬そっくり。ドッグフードが好物なだけある。「違うやろ。ホロホロ〜」「ワンワン!」

 漫才みたいな掛け合いを続けること数分。ついに仙ちゃんが「ホロホロホ〜」とまねしてくれた。鳴くたびに頭を振り上げ、白目をむくので、美人が台無しよ。正確には白目ではなく、まぶたの裏にある薄い「瞬膜」が出ている状態だけど。ちなみに、「鳥は眼球が動かせないので、その代わり首がグルグルとよく回る」とは、村長からの豆知識だ。

 アルビノは紫外線に弱い。そのため普段は日陰のケージにいるのだが、ちょっとだけ出してもらうことに。村長が手に乗せると、「痛っ! グローブしていても、めっちゃ痛い」。ガンガンつつき始めたので、スタッフの小畑沙也加さん(24)に交代すると、急におとなしくなった。「人を見て態度変えるんですよ」。それだけ識別能力が高いってこと。やっぱり賢いのね。青空の下で眺めてみれば、光沢のある羽がキラキラと輝いて、一層きれい。そっと翼に触れてみた。長年の夢が一つかなった瞬間だ。

 こんなに珍しいカラスなのに、見向きもせずに通り過ぎる来場者が多いのが残念。カラスだと気付いてないのだろうなあ。そういえば、日本や欧州には「カラスは神の使い」とする神話がある。仙ちゃんも「幸せの白いカラス」みたいに売り出してみては。そう言うと、「写真を携帯電話の待ち受けにして、パチンコ行ったら負けました」と村長。御利益は特になさそうです。小畑さんいわく、「カピバラやカンガルーたちと濃厚なふれあいを楽しんだ後の、締めのそうめんのような存在」なので、これでいいのかも。(ライター・福家多恵子、写真も)

赤穂海浜公園 動物ふれあい村

 兵庫県赤穂市御崎1857の5、電話0791・43・2820。JR播州赤穂駅からバス。開園時間は10〜15時(土日・祝日は17時まで)。火・水曜定休。入園料は3歳以上500円。

ハシボソガラス

 全長約50センチ。雑食性。ユーラシア大陸に広く分布する。雄と雌を見分けるのは難しく、今のところ仙ちゃんの性別も不明。ハシブトガラスと似ているが、くちばしが細く、額が出っ張っていない、などの部分で区別がつく。

 ご意見、ご感想をお寄せください。osaka.yukan@mainichi.co.jp=次回は5月21日掲載。来週のこのページは「街」です

 ■人物略歴

ふくや・たえこ

 大学で生物研究同好会に在籍して以来、身近な生き物の不思議を探求するのがライフワーク。学生時代のカー子以外のあだ名は、タコ、オオサンショウウオ、マンボウ〓〓。理由はお察しください。写真はうれしそうに仙ちゃんのケージに張り付く筆者。
http://mainichi.jp/articles/20160423/ddf/012/070/015000c

ttp://archive.is/H1KEi

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: