2016年04月29日

愛知)皇帝ペンギン繁殖大作戦 名港水族館【朝日新聞デジタル2016年4月29日】

水槽で仲良く並ぶエンペラーペンギンのカップル=名古屋港水族館提供
 名古屋港水族館(名古屋市港区)のエンペラー(コウテイ)ペンギンたちが日々、トレーニングに励んでいる。朝夕、ウォーキングを欠かさない。なまった体を鍛え、交尾に備えているのだ。

 飼育員が小走りする。手にはペンギンの大好物のホッケ。それに釣られて6羽がばたばたと走る。水槽内を往復し、調子の良いときは50メートルほどになる。これを朝夕こなす。飼育員の材津陽介さん(33)は「足腰を鍛えるためです」。

 ペンギンの繁殖数では、国内有数の実績を誇る同館。他のアデリー、ジェンツー、ヒゲペンギン3種は、これまで280羽ほどの繁殖に成功し、旭山動物園(北海道)やベルゲン水族館(ノルウェー)などにも送り出された。

 しかし、1998年から飼育し、オス、メス各3羽の計6羽がいるエンペラーペンギンだけは成功していない。

 南極でも人が近づきにくい場所に生息していることなどから、そもそも飼育数が少ない。同館の3種の中で1番少ないヒゲペンギンでも23羽いる。国内をみても、飼育しているのは同館も含めた2施設だけ。また、6羽の繁殖能力が高くないという事情もある。

 水族館という環境も影響する。野生では、時には繁殖場所まで100キロ以上も歩く。だが、水族館での生活は運動量が圧倒的に少ない。足腰が弱っているのか、これまでも交尾しようとしたがオスがメスの背中から転げ落ちて、うまくいかなかったケースが何度かあったという。

 「どうしてうまく背中に乗っかれないのか」。材津さんら飼育員たちが話し合った。「太りすぎが原因で体を支えられないのでは」。ダイエット案も浮上したが、他の施設では太っていても交尾に成功している。結局、「怠けた体を鍛える」作戦を展開することになった。

 先月から、ウォーキングを始めた。しかし、当初、エサで釣ってもついて来ず、プールに逃げた。ついて来ないとえさを控えて、ようやく歩くようになった。

 今は繁殖期。水槽の前で耳を澄ますと、「クァークァー」「クルクルクルッ」という鳴き声が聞こえる。少しでも、野生の環境に近づけ、「恋のムード」を盛り上げようと、南極で録音した声を流しているのだ。

 努力が功を奏したのか、現在、2組がカップルとなり、繁殖の期待が高まっている。

 エンペラーペンギンの寿命は30年ほど。6羽の大半はすでに20歳ほどで、人間で言えば中年以上になる。材津さんは「水族館からいなくなってしまわないように、子孫を残してあげたい」。

 ウォーキングの効果を見つつ、岩の上り下りといった、よりハードなトレーニングも検討しているという。(篠原あゆみ)

     ◇

 〈エンペラーペンギン〉 南極周辺に生息する世界最大のペンギンで体長は約1メートル。3月下旬になると、海から氷の上などに上がり、集団(コロニー)で繁殖する。国内で飼育しているのは、名古屋港水族館とアドベンチャーワールド(和歌山県)の2施設だけ。
http://www.asahi.com/articles/ASJ4V4TWXJ4VOIPE015.html

ttp://archive.is/W1HJg

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