2016年05月04日

野生トキのひな 人との共生と日中協力が大切【読売新聞2016年5月4日】

 新潟県の佐渡島で、特別天然記念物トキの野生のつがいから、ひなが誕生した。40年ぶりの朗報である。ぜひとも無事に育ってほしい。

 佐渡島では、人工飼育したトキの放鳥が2008年から続く。自然の中での繁殖も増えた。今回のひなは、自然界で生まれ育った親鳥の間の子供だ。放鳥されたトキの孫の世代にあたる。

 トキの野生復帰に向けた大きな節目と言えよう。

 現在、5組の野生トキのペアが確認されている。これからも、ひなの誕生が期待できそうだ。

 トキは「ニッポニア・ニッポン」の学名を持つ。朱鷺とき色と呼ばれる淡紅色の羽が特徴だ。かつては東アジアに広く分布し、国内でも身近な野鳥だった。

 しかし、羽毛を目的とした明治以降の乱獲や、生息環境の悪化で激減した。佐渡島に残った日本生まれのトキは、03年に最後の1羽が死んで絶滅した。

 環境省は1999年以降、中国からトキの寄贈や貸与を受けて、人工繁殖に取り組んできた。餌の採り方などの訓練も施した。トキの野生復帰事業には、年約1億5000万円が投じられている。

 姿を消した生物の復活が、いかに難しいかを物語る。

 野生復帰には、住民の協力が欠かせない。トキのえさとなるドジョウやミミズが育つよう、水田での農薬の使用量を減らした。冬にも田に水を張っている。

 島内に約150羽のトキが生息するようになったのは、人と共生するための取り組みの成果だ。

 環境省は、今後も年30羽以上を放鳥し、20年には220羽が自然界に定着することを目指す。

 自然界での繁殖には試練が多い。今回、誕生が確認された「純野生」の1羽目のひなは、間もなく死んだとみられる。原因は不明だ。カラスなどの天敵もいる。

 こうした困難を乗り越え、将来的には、野生で生まれたトキが自力で個体数を増やしていくのが、理想の姿だろう。

 その実現には、トキの遺伝的多様性を確保することも大切だ。

 現在のトキは、いずれも中国からの5羽が先祖で、いとこ同士のペアが多い。血縁同士で交配が進むと、病気への抵抗力や繁殖力が低下する恐れがある。中国から継続的にトキの提供を受けることが重要になる。

 中国でもトキの野生復活に取り組んでいる。日本が培ってきた飼育技術を提供するなど、トキを通じた相互協力を続けたい。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20160503-OYT1T50082.html

ttp://archive.is/QQMvI

posted by BNJ at 21:15 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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