2016年05月19日

海遊館 絶滅危機のペンギン、人工繁殖に挑戦 成功すれば世界初【毎日新聞2016年5月19日】(ミナミイワトビペンギン)

世界初の人工繁殖に臨むミナミイワトビペンギン=大阪市港区の海遊館で、宮嶋梓帆撮影
 海遊館(大阪市港区)が、絶滅の恐れがあるミナミイワトビペンギンの人工繁殖に挑んでいる。2011年から毎年挑戦しているが、これまでは成功していない。今年は、国内で最も多く飼育している葛西臨海水族園(東京都)に協力を求め、若いペンギンの精液を採取して新幹線で運び、海遊館の雌4羽に注入した。ペンギンの人工繁殖はマゼランペンギンで成功した米国の1施設しかなく、成功すればミナミイワトビペンギンでは世界初となる。

 海遊館は雄13羽と雌7羽を飼育しているが、自然繁殖は10年に2羽がふ化したのが最後。高齢化が進んでいることもあり、11年に人工授精を始めた。協力している神戸大大学院農学研究科の楠比呂志准教授(保全繁殖)は「排卵日に合わせて雄から精液を得るのが重要だが、うまく合わなかった」と話している。

 今年は、交流を続けてきた葛西臨海水族園の2〜15歳の若い雄14羽に助力を求めた。海遊館の雌の排卵日をエコー検査などで推定しタイミングを見計らって7羽から精液を採取した。

 飼育員の林成幸さん(31)や獣医の村上翔輝さん(25)らが4月、葛西に3回出向いて精液を採取。氷で4〜10度に保ちながら新幹線で海遊館に持ち帰り、顕微鏡で精子の状態を確認したうえで、受精の可能性が高い雌4羽に注入した。施術初日の4月20日、林さんは「今度こそ成功させたい」と膝の上に乗せた雌ペンギンをなでていた。

 18日現在、雌3羽が計5個の卵を産んでおり、うまくいけば6月上旬にふ化する。DNA鑑定で父親が葛西臨海水族園の雄と分かれば成功だ。楠准教授によると、米カリフォルニア州のテーマパーク、シーワールドがマゼランペンギンの人工繁殖に成功したという。

 葛西臨海水族園飼育員の山本達也さん(29)は「人工繁殖の技術確立につながれば」とエールを送る。楠准教授は「精液の運搬が可能なことは証明できた。今後は野生の精液採取も視野に入れたい」と種の保存に向けて意欲を見せている。【宮嶋梓帆】

 ■ことば

ミナミイワトビペンギン
 南米の英国領、フォークランド諸島などに生息。環境破壊が進み、生息数が減少傾向にある。国際自然保護連合(IUCN)は、将来絶滅する可能性が高い「危急種」に指定し、国際取引は厳しく規制されている。
http://mainichi.jp/articles/20160519/ddf/041/040/006000c

ttp://archive.is/QzY8Z

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: