2016年05月21日

にぎわう野鳥撮影「遠くから静かに」マナーにも気遣い【THE PAGE2016年5月21日】(ハヤブサ)

 野鳥の子育てが始まっているこの時季、全国各地の野鳥の営巣地にアマチュアカメラマンが駆けつけてベストショットを競っています。高性能のレンズやカメラの登場で野鳥撮影ファンは拡大。車で数百キロを移動しながらの本格派もいるようです。その一方で、「野鳥を刺激しないよう撮影マナーを厳守して」との呼びかけも強まっており、カメラマンたちは「遠くから静かに」と気を使いながら腰を据えています。

決定的瞬間は1日に数回あるかないか

 長野県北部の都市近辺を流れる川添いにズラリ並んだ三脚。高性能の大型望遠レンズを装着したカメラが、そろえたように据え付けてあります。時折カメラをのぞきながらシャッターを押すアマカメラマン。機材を積んだ車のナンバーは関東圏や県内の別の都市などが占め、地元勢はわずか。


[写真]巣の中の親鳥が一般的な望遠レンズでやっと見える
 レンズが狙うのは、川を隔てて数十メートル先の崖に小さく見えるハヤブサの巣。4月中旬の抱卵から何回もここを訪れているという県内の中年の男性は「卵は3つらしいが、すでにかえっているはず」と何度もカメラをのぞきます。「これを見てください」と見せられた画像はこれまでに撮影した巣の様子。大型望遠レンズの拡大パワーで、目の前の手のひらの上にいるかのように親鳥がシャープに写っています。

 親鳥が餌をくわえて戻ってくると、カメラは一斉に巣に焦点を合わせ、親鳥が巣に入る瞬間などを狙います。決定的瞬間は1日に数回あるかないか。その間、アマカメラマンたちはじっと立ち続けたり、機材の点検などで時をすごします。忍耐が必須の撮影です。

「野鳥は神経質」配慮が必要


[写真]餌を求めて飛び回るハヤブサの親鳥
 NPO法人戸隠森林植物園ボランティアの会の理事で自然観察インストラクターの羽田収さん(78)=長野市=によると、ハヤブサは翼の先端がとがっているのが特徴。子育て中に雄が餌を求めて飛び回り、幼鳥は7、8月までに巣立ちます。

 羽田さんは毎月10日ほど長野市内の一定地域でスズメ、ハト、キビタキなど数十種類の鳥の個体数の確認調査を行い、繊細な環境の変化を知るための地道なウオッチングを続けています。それだけに野鳥への人間の向き合い方にも厳しい目を注ぎます。

 以前、長野県北部の山岳地に真っ赤なくちばしのアカショウビンが飛来したときは、「あっという間に全国から連日100人以上のカメラマンが殺到し、森の中が大騒ぎになった。カメラマンが殺到しないよう一部を交通止めをしたりして大変だった」と羽田さん。野鳥の観察には理解を示すものの、過熱気味の撮影に対しては「野鳥は神経質。騒ぎにしない配慮が必要です」と指摘します。

野鳥との距離感を保つのが大事


[写真]春らんまんの向こうの撮影陣
 新聞社の写真部員として何回も野鳥や野生動物の決定的な写真を撮ってきた自然写真家の丸山祥司さん(71)=長野市=は、「トンビなどは人家と山との境にある断崖などに巣を作っており、この距離感を保ってやることが大切。むやみに接近してはいけない」と指摘。撮影する場合は「少なくとも100メートルの距離を置きたい」と言います。

 また、営巣地の近くで大きな三脚を立てて撮影を続けることも避け、「小さなテントようなブラインドの中からの撮影をなるべく心がけてほしい」。撮影に向いた野鳥の営巣地などを見つけると、スマホなどであっという間に情報が広がるため、カメラマンの集中の度合いも増します。「スマホの影響力には驚きますよ」と丸山さん。野鳥の世界へのITの余波とも言えそうです。

 日本野鳥の会やカメラ業界では、野鳥撮影のマナーとして「巣に近づかない」「ストロボを使わない」「撮影地周辺の通行妨害などで迷惑をかけない」などさまざまな指摘をしており、ルールを守りながらの野鳥撮影が期待されています。ハヤブサを撮影していた1人は「この場所がどこであるか、誰にも言いません」と話していました。

(※写真はいずれも長野県北部)

■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説
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タグ:ハヤブサ
posted by BNJ at 23:02 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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