2016年05月22日

ひと・しずおか 伊豆・三津シーパラダイス獣医師 五島渉さん /静岡【毎日新聞2016年5月22日】(ペンギン)

伊豆・三津シーパラダイス獣医師 五島渉さん
治療法や器具、工夫重ね 五島渉さん(29)
 体重600キロのセイウチから、小指ほどの小魚まで−−。診察対象は、水族館中の生き物だ。

 “患者”の姿形は違えど、治療の基本は変わらないという。「哺乳類なら基本的に治療は同じ。どの動物でも、犬や牛ならどう治すか考えながら治療しています」

 問題は治療環境。イルカが角膜症を起こした時のこと。水中では目薬をさしても水に溶け出してしまう。そこで、水面から目を出していられるようトレーナーに調教してもらい、イルカの目薬に無事成功した。

 2014年には、生後2週間のペンギンのヒナに、脚が開き、将来歩けなくなってしまう開脚症が見つかった。治療には脚を固定する必要があるが、小さなヒナには難しい。そこで、靴下や医療用包帯などを使い、ヒナの体に添うように脚を固定した。治療で親から引き離さなくてはならないため、100円ショップのトレーと鉢植え用ヒーターで保温ヒーターも手作りした。治療のかいあってヒナの脚は治り、他のペンギンと並んでも分からないほど元気に走り回っている。

 犬猫や家畜用はあっても、ペンギンやイルカのために作られた医療器具はほとんどない。だが「治療方法が確立していなくても、新しい方法で効果が出た時がうれしい」と動じない。

 幼いころから動物好き。だが両親の教育方針で動物を飼わせてもらえなかった。病気で尾びれを失ったハンドウイルカが、企業と共同開発した人工尾ひれを付けて再び泳げるようになったドキュメンタリーを見て、「さまざまな動物を治療できる水族館の獣医に憧れた」。大学受験では、得意だった生物や数学の比重が大きい山口大獣医学部を受験し、合格した。

 水族館の獣医の就職は募集人数が少なく狭き門だった。学会やシンポジウムに参加しては、動物園や水族館で働く獣医師に声をかけた。施設に頼み込んでは伊豆・三津シーパラダイスや富士サファリパークでそれぞれ2週間ずつ実習も経験させてもらった。「欠員ができたけど、試験を受けてみるか」。声をかけてもらったのは大学卒業間際だった11年2月末だった。

 目下、アンコウの治療中。「この仕事で一番うれしいのは赤ちゃんが生まれた時」。イルカの赤ちゃんの誕生を応援すべく、おなかにエコーを当てつつ策を練る。6月に控えるオットセイの出産も楽しみだ。【垂水友里香】

 ■人物略歴

ごしま・わたる
 富士市出身。2013年6月に初めてアシカの出産に立ち会い感動した。休日はロードバイクにまたがりサイクリングするのが息抜き。
http://mainichi.jp/articles/20160522/ddl/k22/070/090000c

ttp://archive.is/yvuyg

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