2016年06月03日

霧立山地のブナ林危機 葉を食べる害虫が大発生【読売新聞2016年6月3日】(宮崎県/コマドリ/シジュウカラ/他1ソース)

被害状況を調べる秋本会長(左)ら
ブナの葉を食べるブナハバチの幼虫

 五ヶ瀬町、椎葉村と熊本県にまたがる霧立きりたち山地で、ブナの葉を食べるブナハバチの幼虫が大発生していることが、森林ガイドや保全活動に取り組む住民グループ「霧立越ごえの歴史と自然を考える会」と九州森林管理局・宮崎北部森林管理署(日向市)の調査で分かった。葉が食い尽くされて枝がむき出しになった樹木もあり、枯死が懸念されるという。(河村輝樹)

 九州中央山地にある霧立山地は1600メートル級の山々が連なり、一部は将来にわたり森林生態系のすべてを自然のまま保護することを目的とした林野庁の「森林生物遺伝資源保存林」に指定されている。かつて五ヶ瀬町と椎葉村を結ぶ交易路として利用された山道「霧立越」(約12キロ)は、トレッキングコースとして登山客の人気を集めている。

 考える会によると、秋本治はじめ会長(73)が5月21日に霧立越で登山客を案内中、自生するブナ林で体長1センチほどの複数の幼虫を発見。1週間後には葉や幹に群がるほど大量に増えていた。

 ハチの仲間のブナハバチは、5月頃に新芽に卵を産み、孵化ふかした幼虫がブナの葉を食べ、地中に繭を作って越冬する。2012、13年にも大発生したが、被害地域は部分的だった。今回は霧立越沿いのほぼ全域で被害が確認された。

 秋本会長によると、幼虫が大発生するメカニズムは分かっていない。野生鹿がササの一種「スズタケ」を食い荒らし、幼虫を捕食するコマドリなどの野鳥が営巣できなくなって激減したことが主要因と考えられるという。

 5月31日と1日、秋本会長と宮崎北部森林管理署の職員らが霧立越を歩いて被害状況を目視で調べた。同署の藤川晃久・総括森林整備官は「(幼虫の大発生で)樹勢の衰えなどの影響が考えられるため、調査を進める」と話した。対策については、森林総合研究所九州支所(熊本市)に相談するという。秋本会長は「ブナ林の生態系が壊れるとそれに連動して周辺植物の生態系も崩れ始め、森林全体の自然環境の破壊につながる」と心配している。
http://www.yomiuri.co.jp/local/miyazaki/news/20160602-OYTNT50034.html

ブナの森、虫食い無残 宮崎・霧立山地 食葉被害広がる [宮崎県]【西日本新聞2016年6月3日】
ブナハバチの幼虫に葉脈を残して食べられたブナの葉
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ブナの幹を登るブナハバチの幼虫=いずれも5月31日、宮崎県五ケ瀬町
ブナの幹を登るブナハバチの幼虫=いずれも5月31日、宮崎県五ケ瀬町

 九州最大規模のブナ林が広がる宮崎県五ケ瀬町から椎葉村にかけた霧立山地で、ブナの葉を食べて成長するブナハバチの幼虫が大量発生し、一帯のブナの木の葉がなくなるなどの被害が広がっている。地元住民によると、被害は少なくとも10平方キロメートルに及び、この状態が続けばブナの枯死や山の保水力の低下、将来的には林地崩壊などにもつながりかねず、住民や森林関係者は対策に頭を悩ませている。宮崎北部森林管理署も調査を始めた。

 ブナハバチはハバチ科の食葉性昆虫で、5月ごろに羽化し、ブナの新芽に卵を産み付ける。幼虫(体長1〜2センチ)は約1カ月間、葉を食べて成長する。1990年代から各地で大量発生が報告され始めた。神奈川県の丹沢山地のように、ブナハバチの大量発生が繰り返され、被害木の枯死が進んだ所もある。

 ブナハバチの被害に詳しい神奈川県自然環境保全センターの谷脇徹臨時技師は、大量発生の詳しい仕組みは分かっていないとした上で、シカの食害との関連を指摘する。「スズタケなどの下草がシカの食害で枯れ、そこに営巣してブナハバチを捕食していたシジュウカラなどの野鳥が激減。ブナハバチの生存率を高め、大量発生につながっているのではないか」という。

 幼虫の大量発生は、トレッキングガイドとして5月30日に入山した「霧立越の歴史と自然を考える会」(秋本治会長)のメンバーが約12キロにわたる尾根伝いで見つけた。連絡を受けた森林管理署も同31日に調査し、被害を確認した。秋本会長によると、被害は少なくとも福岡ヤフオクドーム(建築面積7万平方メートル)140個分に相当する10平方キロメートル以上という。

 霧立山地のブナ林は、標高1300メートル以上の尾根伝いに広がる。秋本会長は「2012年と13年も大量発生したが、今回は規模が大きい」という。ブナがなくなれば、コシアブラやミズナラといった他の植物にも影響を及ぼす。すでに下草がなくなった場所では土砂の流出が見られるという。

 ブナハバチの大量発生時には、幹を登る幼虫を粘着テープで捕獲したり、ブナに駆除の薬剤を注入する方法があるが、駆除率は1割程度で防除法は確立されていない。谷脇技師は「食物連鎖を意識してシカの食害を減らすなど、抜本的な対策の検討が必要だ」と話している。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/miyazaki/article/249428

http://archive.is/5I37e
http://archive.is/v6ksV

posted by BNJ at 21:50 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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