2016年06月09日

未踏の世界へ ウイルスに挑み「世界を救う」 東京大医科学研究所教授、米ウィスコンシン大教授 河岡義裕さん【毎日新聞2016年6月9日】(鳥インフルエンザ)

「セーブ・ザ・ワールド(世界を救う)」を掲げ、ウイルス研究に取り組む河岡義裕教授=東京都港区で
河岡義裕(かわおか・よしひろ)さん(60)
 エボラ出血熱、新型インフルエンザなど人類の生存を脅かすウイルスの正体を分子レベルで解明し、制圧に挑んでいる。特に、ウイルスを人工的に作り出す独自の技術と、時に論争を呼ぶ研究スタイルで世界の注目を集め続ける。

 代表的な業績が、1999年に発表した環状のDNAを使う「リバースジェネティクス(逆遺伝学)法」の開発だ。実験室で遺伝子からインフルエンザウイルスを人工合成できる画期的な技術。これを活用して、東南アジアで猛威をふるった鳥インフルエンザのウイルスが病原性を獲得する仕組みを解き明かし、ワクチンの開発にもつなげた。

 ワクチンを作るには、鶏卵で増える弱いウイルスが必要だが、鳥インフルエンザは強力で鶏卵が死んでしまう課題があった。この技術なら、遺伝子を操作して弱いウイルスを作れるため、ワクチンの製法として世界で使われた。

 西アフリカで一昨年以降、1万人超が死亡したエボラ出血熱でも、ウイルスを加工してワクチンを開発。さらに最流行国の一つ、シエラレオネに研究室を設けて滞在し、患者の血液から分離したウイルスで治療法の実現を目指す。

 少年時代から理科好きで、「なぜウイルスに感染したら人や動物は死ぬのか。仕組みを知りたかった」と、この道へ。2006年に感染症分野で国際的に名高いロベルト・コッホ賞に輝き、今年は日本学士院賞の受賞も決まった。

 一方で、哺乳類への感染力を高めた鳥インフルエンザウイルスの作製を巡り、米政府の科学諮問委員会から生物テロへの悪用の恐れを指摘されたことも。鳥から人に感染して大流行を起こす条件を探り、対策に役立てる狙いだったが、こうした研究や論文公表の是非が議論を呼んだ。「後に理解を得て、今も反対しているのは一部の研究者だけ。悪用のリスクがあるからと手をこまねいて良いのか。本来の目的のために研究するのが科学者の使命」と熱く語る。

 研究室の合言葉は「セーブ・ザ・ワールド(世界を救う)」。壮大な目標に向け、信じる道を進む。【千葉紀和】
http://mainichi.jp/articles/20160609/ddm/016/040/017000c

http://archive.is/UjDPy

posted by BNJ at 11:35 | Comment(0) | 鳥類一般ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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