2016年06月12日

鹿児島)シマオオタニワタリの渓流 「最高級の風景」【朝日新聞デジタル2016年6月12日】(アカヒゲ/リュウキュウアカショウビン)

シマオオタニワタリが樹上高くまで生い茂り、独特の景観を醸す渓流。こけむした岩(左)も味わい深い=宇検村の湯湾川、常田守さん撮影

 「最高級の風景」。奄美大島の自然を35年以上撮り続ける写真家常田守さん(62)が絶賛する渓流がある。島最高峰の湯湾岳(694メートル)を源流とし、宇検村を流れる湯湾川。水は清く、青々とした葉を広げたシダ植物シマオオタニワタリが、その名の通りに谷を渡るように生い茂る。こけむした岩のそばでは、リュウキュウハグロトンボが金緑色の体を輝かせながら飛び回っている。

 「どの角度でも絵になる。うれしい悲鳴だ」。常田さんは数メートル進んでは三脚を立て、前後左右、上下の風景を撮影する。確認した500メートルだけで、約150本の木に着生したシマオオタニワタリは800株余り。川にはヨシノボリやテナガエビ、日本一美しいカエルと言われるアマミイシカワガエルなど多様な生き物が棲(す)み、桜のような星形の花が愛らしいサクラランも樹上からぶら下がる。アカヒゲやリュウキュウアカショウビンなど野鳥の美しいさえずりも楽しめる。

 シマオオタニワタリは生態も面白い。葉を放射状に伸ばし、中央に集まり落ちる枯れ葉や水を栄養にして育つ。幹の表面がざらざらで着生しやすいアマミアラカシの木に多く、樹上に生えることで光が届きにくい深い森でも光合成をしやすくしているとみられるという。「生き残るための戦略がすごい」と常田さん。

 2010年の奄美豪雨や相次ぐ台風などで流されたため、以前より株数は減ったが、回復傾向にある。だが、護岸が無機質なコンクリートで固められた場所もあり、「人命にかかわる災害対策の工事は必要だが、今後は景観や生態系への配慮が求められる」と指摘する。島が世界自然遺産を目指せるのは希少動植物の多さだけでなく、この渓流のような「風景そのものが世界レベルの遺産」と考えるからだ。

 湯湾川での撮影中、常田さんは夢想する。奄美の自然を濃密に描いた画家田中一村(1908〜77)がもしも存命で、案内をできるならば。「傑作が生まれるかもしれない」と。(外尾誠)
http://www.asahi.com/articles/ASJ696FX6J69TLTB01C.html

http://archive.is/zhiwb

posted by BNJ at 11:53 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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