2016年06月30日

小笠原の固有種ピンチ 世界遺産登録5年、外来種が脅威【朝日新聞デジタル2016年6月30日】(アカガシラカラスバト/メグロ)

多様な植生や石灰岩特有の地形が見られる南島。東京都の認定ガイドが同行しないと上陸できない無人島=5月18日、小笠原諸島・南島、中山由美撮影

母島の山中に咲く固有種・ハハジマノボタン。絶滅危惧種に指定されている=小笠原諸島・母島、中山由美撮影

 小笠原諸島が世界自然遺産に登録されて29日で5年を迎えた。独自の進化を遂げた動植物の固有種が豊かなことが評価されたが、外来種の侵入などで固有種は減っている。ユネスコから現状報告を求められる時期も近く、さらに悪化すれば「危機遺産」になる恐れもある。環境省は外来種対策など新たな管理計画づくりを始める。

小笠原の「ボニンブルー」 海を彩る生き物たち
 小笠原諸島に固有種が多いのは、大陸とつながった歴史がないからだ。なかでも在来の陸産貝類(カタツムリ)は100種を超え、その95%が固有種で、進化の歴史もわかることが遺産登録の大きな理由となった。だがその価値が今、人の行き来にともなって入り込んだ外来種の脅威にさらされている。

 天敵はヒルのような外見の外来プラナリア(ニューギニアヤリガタリクウズムシ)やネズミだ。プラナリアは生息域を広げ、父島ではオガサワラオカモノアラガイが絶滅、カタマイマイは一部地域を除き消えた。兄島でもクマネズミに食べられカタマイマイが減っている。

 ネズミ対策で環境省は島々に殺鼠剤(さっそざい)を散布した。だが、大半の島で数カ月から数年たつとまたみつかる。「地形が複雑な島のあちこちに広がり根絶は難しい」と環境省小笠原自然保護官事務所の尼子直輝さんは言う。しかも殺鼠剤を、絶滅が危惧される固有種のアカガシラカラスバトやメグロが食べてしまう恐れがある。

 何かをたたけば別の影響が出る、外来種対策は「もぐらたたき」のようだ。固有種の植物を食べてしまう野ヤギは約20年で7218頭捕り、父島以外では根絶した。ヤギ被害がなくなって固有植物が増えた島がある一方で、兄島では外来植物のギンネムやモクマオウが増えてしまった。さらにエサ環境がよくなり、ネズミが増えた可能性もあるという。

 ログイン前の続きまた、野ネコはネズミを捕ってくれるが、固有種の野鳥やオガサワラオオコウモリを襲うので捕獲している。

 同省自然環境計画課の松永暁道さんは「一地域でこれほど多くの外来種対策が必要な所は国内で他にない。様々な生物間の相互関係を理解しなくてはならない」と話す。世界遺産地域の管理計画を見直すため、今年度中に地元関係者、研究者らとワーキンググループをたちあげる方針だ。

■危機遺産の恐れも

 国内で世界自然遺産に登録されているのは白神山地(1993年)、屋久島(同)、知床(2005年)、小笠原諸島(11年)の4件だ。国際自然保護連合(IUCN)が調査して評価し、ユネスコの世界遺産委員会が決定した。

 小笠原諸島は登録時に「侵略的外来種対策の継続」を要請された。行政や地域の団体、学識者らが連携し、遺産を将来にわたって維持管理する必要がある。

 登録後は約5〜6年ごとにユネスコから保全状況の報告を求められる。白神、屋久島、知床は最初の報告を終えており、小笠原は今後いつ求められてもおかしくない。同省関東地方環境事務所の千田智基さんは「遺産価値と認められたところが悪化している。全島的な影響が出たら危機遺産にされてしまうこともある」と懸念する。

 危機遺産とは、世界遺産としての価値が著しく損なわれた場合に指定される。価値が失われてしまえば、世界遺産の登録も抹消される。

 ダーウィンの進化論で有名な南米エクアドルのガラパゴス諸島は一時、危機遺産となった。世界遺産に登録されて観光客が急増したことなどで環境が悪化したためだ。巨大なサンゴ礁のグレートバリアリーフは昨年、危機遺産入りを審議されたが、豪州政府が改善策を報告して免れた。

 同省自然環境計画課の松永暁道さんは「日本も責任を持って遺産を守っていく責務がある」と話す。(中山由美)
http://www.asahi.com/articles/ASJ6F3S0KJ6FUTIL02J.html

http://archive.is/V8XEP
小笠原の「ボニンブルー」 海を彩る生き物たち【朝日新聞デジタル2016年6月30日】

posted by BNJ at 23:18 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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