2016年07月13日

連載:NYタイムズ 世界の話題 不審ドローン オランダ流の意外な対処策【朝日新聞デジタル2016年7月13日】(鷹匠)

「ドローン狩り」のために飛び立つタカ=Andrew Testa/(C)2016 The New York Times

 翼で風を切りながら、曇り空を優雅に飛ぶタカが、狙いを定めた獲物に爪を立てて襲いかかる。しかし、標的は別の鳥ではない。ドローン(小型無人機)だ。鈍い金属音をさせてドローンをつかんだタカは、地上に舞い降りた。

 オランダ西部のカトウェイクにある、今は使われていない軍事基地の飛行場で、タカのような猛禽(もうきん)類の本能をドローン対策に活用するための訓練が行われている。ドローンの数は激増しており、航空機の妨害や刑務所への禁制品の運び込み、上空からの監視、イベント会場などでの危険飛行といった問題を引き起こすケースがあるからだ。

 ヨーロッパ諸国などの治安担当者たちは、テロリストがドローンを悪用するのではないかという懸念を抱いていており、この5月にフォルケンブルグ海軍航空基地で行われたドローン対策実験に集まった。オランダ警察の警視正マーク・ウィブスも参加していた。彼は「とても有望」な試みだと感想を述べ、ドローン対策での猛禽類の活用は最終的な実験判定を経て間もなくオランダで実用化されるだろうと話した。イギリスのロンドン警視庁も訓練した鳥の活用を検討しているという。

 ログイン前の続きオランダ当局は、他にもいくつかのドローン対処策を試みている。ドローンが発信する電子信号を妨害する方法や、防御用のドローンから標的のドローンにネットを投げて確保する方法、あるいは大粒の散弾で撃ち落とす方法などである。

 タカなどの猛禽類を訓練して活用する方法には、標的のドローンを安全無事に地上まで運べるという利点がある。上空でドローンを壊せば、危険が地上にまで及びかねない。

 「私たちは飛行場などの周辺で何度も事故を目撃してきた。誰かがドローンを使って何らかの攻撃を仕掛けるかもしれないので、そうした事態への備えをしておきたい」とウィブスは言う。

 今回のプロジェクトを考え出したのは、安全対策コンサルタントのショアド・フォホンドーンで、「たいがいは、最もクレージーなアイデアが一番よく機能する」と言っている。不審なドローンへの対処策を考えていた時に思いつき、共通の友人を通して、経験豊かなバード・ハンドラー(鳥の調教師)のベン・デケイジャと連絡をとりあった。

 二人は試行を重ね、ハーグに拠点を置く「ガード・フロム・アバーブ(Guard From Above=上空からの警戒)」という会社を立ち上げ、2014年の後半、オランダ警察に話を持ちかけた。フォホンドーンらは、「ハイテクの問題をローテクで解決する」方法を提供できると当局に訴えたのだ。

 タカがうまく仕事を成し遂げれば、ごほうびに肉の塊を与える。心配なのは、タカが標的に近づいた時にドローンのプロペラで深刻な傷を負うかもしれないということ。だから、何よりもタカの安全に気を配っており、フォホンドーンによると、タカの爪はもともとウロコ状の膜で保護されているが、そこにカバーを付け加えることを検討している。ウィブスは、安全策としてタカの爪に手袋のような覆いを付ける工夫も考えていると言う。

 フォホンドーンは米同時多発テロ事件が起きた2001年9月11日の週に、たまたまニューヨークを訪れていた。それが安全対策問題への関心を一層深めることになった

 「すごく衝撃的な経験だった」とフォホンドーン。「以来、ずっと何かしたいと思ってきたが、今回の方法は、少しでも世界を安全にすることに役立つと思う」と彼は言うのだ。

 英ケント大学ロースクールの講師アラン・マッキーナは、タカなど猛禽類の活用で、どこまでドローンの不正使用を抑止できるか疑わしいとみる。それでも彼は、解決の一手段になるであろうことは認めている。

 「特定の場所で四六時中、タカを放していられるわけではない」。マッキーナはそう指摘しながらも、野外での音楽フェスティバルのようなイベント会場で使えるかもしれないと付け加えた。

 一方、フォホンドーンは、危険性が高い場所に何匹かのチームにしたタカを待機させておくこともできると言う。日没後、暗闇でドローンを飛ばすのは難しいだろうが、そうした場合でも、夜でも飛翔(ひしょう)できる猛禽類を使えると話している。(抄訳)

(Stephen Castle)

(C)2016 The New York Times(ニューヨーク・タイムズ)
http://www.asahi.com/articles/ASJ6F3J8WJ6FULPT001.html

http://archive.is/8jvuH

posted by BNJ at 21:46 | Comment(0) | 海外の鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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