2016年08月15日

鹿児島)アジサシ、消えた大群 奄美の夏の風物詩はいま【朝日新聞デジタル2016年8月15日】

【動画】夏の渡り鳥のベニアジサシとエリグロアジサシの奄美大島周辺への飛来数が激減

岩場から飛び立つベニアジサシとエリグロアジサシ=2010年夏、いずれも奄美大島周辺、常田守さん撮影

 「いないなあ……」。双眼鏡から目を離し、自然写真家の常田守さん(63)がため息をついた。8月上旬、夏の渡り鳥のベニアジサシとエリグロアジサシを探して奄美大島北部の海岸を回ったが、確認できなかった。「どう、いる?」。途中で出会い、声をかけた知人の野鳥愛好家も首を横に振った。

 この2種は毎年6月上旬ごろ、豪州や東南アジアから飛来する。主に海の岩場にコロニー(集団繁殖地)を作り、自然のくぼみを巣にして子育てをする。小魚を狙って海へ急降下したり、岩場から飛び立ったり。真っ青な海と空の間を飛び交う純白の姿は長年、奄美の「夏の風物詩」と呼ばれてきた。

 かつて、ベニアジサシは数百羽、エリグロアジサシも何十羽もの群れが島のあちこちで見られたが、「そんな大群はもう、皆無になった」と常田さん。陸地からの観察が難しくなり、近年は漁船を貸し切りにして加計呂麻島周辺で飛来調査を続けているが、昨年は確認できなかった。今年は7月末に何とか約50羽を見つけ、6月に奄美市中心部に近い漁港で姿を見たが、ともに繁殖の可能性は低いという。

 減少の要因として考えられるのは、「複合的な環境破壊」。ここ数十年、コロニーに適した岩場が埋め立てや漁港整備などで次々と壊され、そのたびに群れの姿が減った。

 この2種より一足早い4月に飛来し、6月に繁殖するコアジサシも、海岸の防風林として植えられた外来種モクマオウの増殖で営巣地の砂浜が狭められた後、激減した過去がある。

 そして今、気になるのはエサの小魚の減少。地元の漁協役員は「海の色が黒く見えるほどのキビナゴの大群がめっきり減り、それを狙うアジサシも見なくなった」。開発に伴う海への赤土流出、地球温暖化に伴う海水温の上昇。はっきりとした理由は分からない。

 いずれも環境省のレッドリストで「絶滅危惧U類」に分類される貴重な鳥。ベニアジサシとエリグロアジサシは、奄美大島を含めた南西諸島が世界的な繁殖地だ。島で子育てができないと、遠く離れた海外でも姿が見られなくなる恐れがある。「(アジサシの減少は)奄美だけでなく、地球レベルの環境問題につながっている」と常田さん。自然にはできるだけ手を加えない。その考えを広めることが大切だと考えている。(外尾誠)
http://www.asahi.com/articles/ASJ8D4K9ZJ8DTLTB00Q.html

http://archive.is/T12tE
ベニアジサシ1千羽、ナガンヌ島の空に舞う 「繁殖順調」沖縄県が調査【沖縄タイムスプラス2016年8月9日】
アジサシ 夏鳥飛来、2種40羽を確認 瀬戸内町加計呂麻島沖 /鹿児島【毎日新聞2016年8月8日】

posted by BNJ at 11:34 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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