2016年08月24日

もうひとつの動物園 守り・伝える/125 ペンギン/2 /東京【毎日新聞2016年8月24日】

長期飼育が可能に
 戦後の食糧難で捕鯨が盛んになると、1951年以降、船員らがヒゲペンギンやコウテイペンギンを南極海から持ち帰るようになり、上野や大阪・天王寺の動物園などへ次々に贈られた。

 ところが、無菌状態に近い極地に生息するペンギンは、カビの感染に極端に弱かった。空調設備や空気清浄器が十分でない時代、自然界に広く分布するカビの一種、アスペルギルスに呼吸器を侵され死ぬケースが多く、欧米の動物園でもコウテイペンギンの飼育は成功していなかった。

 当時、上野動物園の古賀忠道園長が陣頭指揮を執る4人の獣医チームが、治療法の開発にあたった。その一人で、後に園長になった中川志郎氏は、自らの水虫の手当ての際にふと思いついた。「種類こそ違え、水虫もアスペルギルス症もカビ。水虫薬が効くかも」

 中川氏がコウテイペンギンに、水虫薬の抗生物質を家庭用の吸入器で吸引させたところ、病状は改善。この手法は世界中の動物園に普及し、極地にすむペンギンの長期飼育が可能となった。

 とはいえ、ペンギンが蒸し暑い日本の梅雨や夏を乗り越えるのは難しく、冷房設備も必要だった。秋と春にコウテイペンギンやオウサマペンギンが、冷房完備の屋内施設と、屋外施設を移動する際、園内を行進する様子は季節の話題として人気を集めるようにさえなった。【斉藤三奈子】
http://mainichi.jp/articles/20160824/ddl/k13/040/037000c

http://archive.is/gRXHz
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