2016年10月11日

【行雲流水】(一羽のサシバ)【宮古毎日新聞2016年10月11日】

 寒露の節気。今年最初の一羽のサシバを見た。「一輪のバラはすべてのバラ」と詠んだリルケにならって、「一羽のサシバはすべてのサシバ」である

▼目標に向かって鋭く直進する意志。ゆるやかな輪を仲間と描く舞い、それは生きる喜びの賛歌。どこまでも高く、明暗を反転させながら、らせん状に旋回、昇りゆく鷹柱、それは祈り。そのすべてを一羽のサシバは秘めている

▼サシバが上空から獲物を発見するとき、網膜に届く獲物の映像(光)は微弱で、計算上は像を感知しえない。しかし、光が波であると同時に、とびとびの粒子であることによって、網膜への刺激を強め、像を結びえているのである。その意味では、サシバは、宇宙の存在の理法を飛んでいるとも言える。(ちなみに、光の波動と粒子の二重性を説明する「光電効果」によってアインシュタインはノーベル賞を受賞した)

▼サシバにとって、渡りをすることは生きることであり、人もまた人生の時間を旅するものだから、深く共感して、共に生を生きる。海山を越え、風雨に耐えてけなげに渡るサシバに感情移入することと、自由な想像を重ねることで、一つの世界を創造するのである

▼サシバは生まれる前から準備された旅への衝動に導かれて、その使命を飛翔する。空を見上げてサシバを追ったあの友人たちの思い出を連れてくる。人の世の崇高なる理想をも力強く飛ばせたい

▼さんざめく銀河の星ぼしは招く。遥かに望む幾山河。行く手には荒れた風雨もあるが、虹も出る。

http://www.miyakomainichi.com/2016/10/93512/

http://archive.is/tK5o5

タグ:サシバ
posted by BNJ at 11:10 | Comment(0) | 鳥類コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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