2016年10月21日

第22回日韓国際環境賞(その1) 舞い戻ってきた「幸せ」 韓国側 コウノトリ保護「忠清南道礼山郡」【毎日新聞2016年10月21日】

 東アジア地域の環境保全に貢献した団体・個人を表彰する第22回日韓(韓日)国際環境賞は、日本側がNPO法人タンチョウ保護研究グループ、韓国側が忠清南道(チュンチョンナムド)礼山(イェサン)郡に決まった。ともに絶滅にひんしている東アジアを代表する鳥類の保護に貢献している。タンチョウ保護研究グループは、鳥の足にリングをつけて総数調査をするなど科学的な活動に地道に取り組み、大陸での保護活動拡大にも尽力している。礼山郡はコウノトリ飼育に取り組み、韓国で野生のペアが絶えて45年の今年、自然ふ化に成功。周辺地域の生態環境の整備にも力を注ぐ。合同表彰式は27日、韓国・ソウルのプレスセンターで開かれる。

生息地環境美化、生命力つないだ
 忠清南道礼山郡には八十数羽のコウノトリがすむ「村」がある。

 13万5669平方メートルという敷地に190億ウォン(約17億3000万円)をかけて造成された礼山コウノトリ公園だ。コウノトリは、ここにつくられた人工湿地でドジョウやフナ、カエルなどの餌を捕まえて戯れ、飼育場で空高く飛び立つ翼の力をつけ、ドジョウやナマズなどを捕らえる狩りの技術を学びながら、野生への適応方法を学ぶ。

 公園の周りの田んぼではコウノトリが農薬中毒にならないように堆肥(たいひ)農法で農業を行い、きれいな水が流れる生態河川とするために近くの川辺では継続して環境美化活動が行われている。

 韓国の代表的な留鳥だったコウノトリは、密猟と環境破壊などによって朝鮮戦争以降、ほぼ痕跡を消した。1971年4月に忠清北道(チュンチョンプクド)陰城(ウムソン)に生息していた最後の野生コウノトリのペアのうち雄が密猟者の銃で殺され、雌は農薬中毒によって94年に死んだ。その後は、しばらくの間、冬に繁殖地から越冬地に移動するコウノトリをたまに見ることができるだけになった。今は中国の東北地方とロシアのシベリアなどにわずか2500羽ほどしか残っておらず国際絶滅危惧種にも指定されている。

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 このように韓国内外で姿を見つけにくくなった天然記念物コウノトリが、大規模な巣を作ることができるようになったのは礼山郡が2009年からコウノトリ保護事業に積極的に取り組み始めたためだ。日本による植民地支配からの解放(45年)以前には野生のコウノトリの主要生息地として知られていた礼山郡は09年から「コウノトリが暮らせてこそ、人が生きられる」という旗印のもとコウノトリ保護事業を展開してきた。

 日本の「コウノトリの郷公園(兵庫県豊岡市)」をベンチマークとして、コウノトリの共存に向けた生態文化研究のための国際フォーラムも開いた。

 コウノトリの生態系復元のための礼山郡の努力は、今年5月に結実した。昨年、放し飼いにしたコウノトリの雌雄1ペアが自然につがい、2個の卵を産んだ。野生のペアが絶えてから45年ぶりにコウノトリの自然ふ化に成功したのだ。

 コウノトリのヒナたちは7月、生まれて2カ月あまりで空高く飛び立って、独り立ちを始めた。礼山郡では現在、このコウノトリの足に衛星追跡装置をつけて動きをリアルタイムで把握するなど最新の管理体制を並行しておこなっている。

 黄善奉(ファンソンボン)礼山郡守は「コウノトリが自然にふ化したということは、私たちの生態系が健康を取り戻したということを意味する」と語り、「今後もこのコウノトリ公園を中心にコウノトリを定着しやすくするため生息地周辺の生態環境を継続して美しく保ち、コウノトリが礼山郡の留鳥として暮らしていくように誘導する計画だ」と強調した。【朝鮮日報・孫章薫(ソン・ジャンフン)記者】

兵庫県豊岡市の保護活動
 日本のコウノトリ保護では、兵庫県豊岡市の取り組みが名高い。減少を受けて1965年に人工飼育を始め、苦難の末に25年目の89年に人工繁殖に成功。野生復帰のため99年に県立コウノトリの郷公園をつくり、2005年に放鳥を始め、07年には国内では43年ぶりの野外でのヒナ誕生を成功させた。礼山郡の活動にも協力している。

韓国側 過去の受賞者
第1回(1995年)光緑会(李乙浩会長)▽中国・自然の友(梁従誡会長)

第2回  (96年)梁運真氏(馬山昌原環境運動連合常任議長)

第3回  (97年)鄭用昇氏(韓国教員大学環境教育科教授)

第4回  (98年)文國現氏(「生命の森を育てる国民運動」共同運営委員長)

第5回  (99年)教育放送のドキュメンタリー番組「一つだけの地球」制作チーム

第6回(2000年)権粛杓氏(延世大学名誉教授)

第7回  (01年)元炳〓氏(慶熙大学名誉教授)

第8回  (02年)崔在天氏(ソウル大学副教授)

第9回  (03年)社団法人韓国消費者保護市民連合(金在玉会長)

第10回 (04年)趙漢珪氏(韓国自然農業協会名誉会長)

第11回 (05年)ソウル市(李明博市長)

第12回 (06年)金潤信氏(漢陽大学教授)

第13回 (07年)韓国自然環境保全協会(柳在根会長)

第14回 (08年)盧在植氏(韓国気象学会名誉会長)

第15回 (09年)仁済学園(白楽〓理事長)

第16回 (10年)韓国ナショナルトラスト(楊秉〓理事長)

第17回 (11年)鳥と生命の場(ナイル・ムアーズ代表)

第18回 (12年)韓武榮氏(ソウル大学雨水研究センター所長)

第19回 (13年)東北アジア山林フォーラム

第20回 (14年)尹淳昌氏(ソウル大地球環境科学部教授)

第21回 (15年)LTP研究プロジェクト事務局

 ◆韓国側審査委員

鄭元植(チョン・ウォンシク)氏
 審査委員長、元首相、ソウル大名誉教授

金明子(キム・ミョンジャ)氏
 元環境相、韓国科学技術団体総連合会次期会長

文吉周(ムン・キルチュ)氏
 科学技術連合大学院大学校(UST)総長、前韓国科学技術研究院(KIST)院長

崔在天(チェ・ジェチョン)氏
 国立生態院院長、生命多様性財団代表

黄鎭澤(ファン・ジンテク)氏
 元高麗大グリーンスクール大学院客員教授、韓国エネルギー技術評価院(KETEP)院長

洪準浩(ホン・ジュンホ)氏
 朝鮮日報社発行人

http://mainichi.jp/articles/20161021/ddm/010/040/023000c

http://archive.is/74JSB
第22回日韓国際環境賞(その2止) 美しきシンボル永遠に 日本側 「NPO法人タンチョウ保護研究グループ」【毎日新聞2016年10月21日】

posted by BNJ at 11:46 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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