2016年10月26日

ウトナイ湖野生鳥獣保護センター 救護室からのメッセージ リスク高い渡り鳥の旅 今季は軽傷多く、ほとんどリリース【苫小牧民報2016年10月26日】

今シーズン搬入されたコノハズク(左)とオオコノハズク(右)
 北海道の短い秋が駆け足で到来する季節、自然界では冬を目前に多くの野鳥が「渡り」を行います。北海道で「夏鳥」といわれる種は越冬のために本州以南の地を目指し、「冬鳥」と呼ばれる種は極寒な地から冬越しのためにこの北海道にやってきます。また長距離の渡りはせずとも、山間部から平野部へと生息環境を変えるだけの種もいます。このように多くの野鳥が移動を行う時期は、これに連動しウトナイ湖野生鳥獣保護センターでもさまざまな種の傷病鳥が搬入されます。

 今シーズンも約1カ月間で、小鳥類ではエゾムシクイ(スズメ目ムシクイ科)、クロツグミ(スズメ目ヒタキ科)、ヤブサメ(スズメ目ヤブサメ科)が、フクロウ類ではコノハズク(フクロウ目フクロウ科)やオオコノハズク(フクロウ目フクロウ科)、水鳥ではスズガモ(カモ目カモ科)やコガモ(カモ目カモ科)など、22種28個体を記録しました。これは年度初め(4月〜6月)の搬入個体数を合算しても上回るほどで、このデータからも野鳥の渡りと事故に遭うタイミングは関連付けられていることがよく分かります。「移動する」ということは、野鳥にとってそれだけリスクが高いのです。幸いにして今季の傷病鳥たちは軽傷だったものが多く、そのほとんどがリリースに至りましたが、保護された数時間から数日間の期間が、その後の旅路に影響が出なければ…と切に願いながら、再スタートをきった彼らの後ろ姿を見送ってきました。

 日に日に寒さが増すとともに、数えきれないほどの野鳥が冬越しの地を求めて旅立つ季節。この中でいったいどれだけの鳥がその地に無事にたどり着き、そして春になったら再び戻ってこられるのでしょうか。生きているかぎり繰り返される途方もない旅を続ける渡り鳥の勇姿に、尊敬の念を抱かずにはいられないのです。

(ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)
http://www.tomamin.co.jp/feature/view?id=44051

http://archive.is/ubc1i

posted by BNJ at 23:25 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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