2016年11月05日

こちらいきもの研究会 冬の渡り鳥、カモ観察へ 警戒心強く、スパイ気分【毎日新聞2016年11月5日】

水浴び中のオカヨシガモのオス=兵庫県姫路市の市自然観察の森で、福家多恵子撮影
 冬鳥の渡りシーズンがやって来た。その代表選手といえばカモの仲間だが、正直、今まであまり興味を持ったことがない。動きが少ない、色が地味、声もイマイチ……などと思っていたのだ。ごめんなさい。そこで姫路市自然観察の森(兵庫県姫路市)で、じっくり観察してみることにした。

 JR姫路駅からバスで約25分。ひんやりと冷たい風に秋の深まりを感じつつ、まずは拠点施設のネイチャーセンターへ。地図によれば、60ヘクタールの敷地内に総計8キロの観察路が整備されている。南側には市内一大きな人工池の「桜山貯水池」。センター運営を受託する日本野鳥の会のチーフレンジャー、斉藤充さん(57)が「ここでは陸の鳥と水の鳥、両方観察できますよ」と案内してくれた。

 池に沿って観察路を進むと、ヒヨドリのにぎやかなおしゃべりにまぎれて、木の上の方からモズの高鳴きや、ジョウビタキの「ヒッヒッ」という特徴的な声が聞こえてきた。どちらも越冬のために来たばかり。「ここは私の縄張りよ」と主張しているのだ。

 途中でシカとすれ違いながら、水鳥の観察ポイントに到着。池を見下ろせば、光る水面にプカプカと浮かぶカモの群れがいた。例年、10月半ばを過ぎると、遠い北国から次々と渡ってくる。「いま確認できているのは150羽くらい。これからどんどん増えていって、シーズン通して12〜13種類のカモが観察できます。1月くらいまでがピークですね」と斉藤さん。


白黒のツートンカラーで初心者でも見分けやすいキンクロハジロ=兵庫県姫路市の市自然観察の森で、福家多恵子撮影
 カメラの望遠レンズをのぞくと、私が唯一見分けることのできるカモ、キンクロハジロを発見。白黒のツートンカラーで目は金色。後頭部にちょんまげのような冠羽(かんう)が伸びていて、鳥見初心者でも覚えやすい。


くちばしを背中の羽に突っ込んで浮き寝するホシハジロ=兵庫県姫路市の市自然観察の森で、福家多恵子撮影
 頭部が赤茶色で胸が黒いのはホシハジロ。最近、この池で一番数が多い種類だとか。同じ赤茶色の頭でも、胸が茶色ならヒドリガモだ。少数派のオカヨシガモは、オスが灰色、メスが褐色でシックな感じ。ハシビロガモは名前の通りくちばしが広いので、これまた分かりやすい。

 カモの多くは、器用に首を180度後ろに向け、羽にくちばしを突っ込んで寝ていた。まんじゅうのような形で、クルクルと水に流されるがままだ。熱心に羽づくろいしている姿も目立つ。尾羽の付け根にある尾脂腺(びしせん)から分泌される脂をくちばしで塗りつけて、体がぬれないようにしているのだという。

 そうやって斉藤さんに教わっていると、いつの間にか視界からカモが減っていた。じわじわと移動していたのだ。「野生のカモは警戒心が強いので」。直線距離で200メートルほどあるのに、どうして気付いたんだ。寝ていたんじゃないの? 改めてよく見ると、まんじゅう状態のまま、薄目を開けている。野生のカモ、恐るべし。


平たいくちばしが特徴のハシビロガモ=兵庫県姫路市の市自然観察の森で、福家多恵子撮影
 逃げられて言うのも変なのだが、この反応はうれしかった。向こうも意識しててくれたのね。って警戒されているだけですが。しばらく時間を空けて、今度は斉藤さんに隠れてもらい、1人でこっそり観察する。スパイみたいで楽しい。

 ちなみに、カモのオスは渡りの時期、「エクリプス」と呼ばれる地味な羽色をしている。これから冬にかけて生え変わり、繁殖用の鮮やかな模様になっていくのだ。その変化を観察してみるのも、おもしろいカモ。(ライター・福家多恵子、写真も)

渡り鳥
 繁殖地と越冬地とを行き来する野鳥。国境を越えて長距離移動する鳥を指すことが多い。その他、1年中ほぼ同じ地域に生息している「留鳥(りゅうちょう)」と、季節によって山地から平野へなど短距離移動する「漂鳥(ひょうちょう)」がいる。

姫路市自然観察の森・ネイチャーセンター
 兵庫県姫路市太市中915の6、電話079・269・1260。JR姫路駅から神姫バス「自然観察の森」下車。開館時間は9時〜16時半。月曜休館。入館無料。双眼鏡の無料貸し出しも(身分証明書が必要)。「バードウオッチング入門」は11月20日(日)、12月4日(日)の9時半〜11時半、要申し込み。小学生以上、先着20人。

 ■人物略歴


森の中を探索する福家多恵子さん=兵庫県姫路市の市自然観察の森で、本人提供
ふくや・たえこ
 大学で生物研究同好会に在籍して以来、身近な生き物の不思議を探求するのがライフワーク。極度の冷え性で寒さに弱い。ヒトも冬眠できればいいのに。写真は森の中を探索する筆者。
http://mainichi.jp/articles/20161105/ddf/012/070/020000c

http://archive.is/uEhly

posted by BNJ at 22:33 | Comment(0) | 野鳥ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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